出産前後に家庭でできる子供の発達障害の予防と改善させる育児法
発達障害は脳の機能障害ですが、脳が変化しやすい8歳未満の幼い頃であれば発達障害の予防と改善をすることができます。
発達障害を予防し改善させるには、子供の脳の発達に良い環境を作ってあげることが大事なのですが、ちょっとだけ注意して育児をすればできる範囲のものです。
本格的な発達障害の治療は専門家に任せるとして、家庭内でできる子供の発達障害の予防と改善させる育児法を実践してみましょう。
【子供の発達障害の相談や治療について】専門家の澤口俊之先生が所長を務める「人間性脳科学研究所」に相談しましょう。
高齢出産を避ける
高齢出産をすることは発達障害のリスク要因になることがわかっています。
これはお母さんだけでなくお父さんも関係しており、近年の研究ではお母さんの高齢出産よりもお父さんの高齢出産の方が発達障害のリスクが大きいことが分かっています。
これはお父さんが高齢になると生死の遺伝子における新生突然変異が増えつつ蓄積されるからで、お父さんの高齢出産は45歳前が目安です。
また、お母さんの高齢出産は発達障害のリスク要因もありますが、ダウン症を含めた染色体異常のリスク(卵子の老化)も間違いなく増えます。
しかし、一方で40歳前後の高齢出産だと知能が高い子供が生まれる確率が高いという報告もあります。
養育でも親が年齢を重ねている方が若い頃よりも金銭面や精神面が安定しているので、子供も安心して成長できるというメリットもあります。
妊娠中は喫煙しない
脳の機能障害である発達障害の発症や症状の程度は、遺伝的要因と環境要因に左右されます。
そして、典型的な環境要因が妊娠中でのタバコです。
研究では遺伝的要因があり、かつ妊娠中に喫煙をすると、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子供が生まれる確率が3倍に増え、妊娠中の喫煙だけでも1.3倍ほど増えるという報告があります。
また、妊娠中の喫煙はASD(自閉症スペクトラム障害)のリスク要因にもなります。
他にも妊娠中の喫煙をすることは、赤ちゃんの酸欠状態になって窒息してしまうので、死産や流産をしやすく、出生児の体重や身長が減少します。
そして、母乳にはニコチンが含まれているので、赤ちゃんを母乳で育てるとニコチン中毒症状を起こします。
どれをとっても正常に子供を育てるなら、妊娠したらきっぱりタバコを吸うことはやめるべきです。
出産後は1時間以内に赤ちゃんを抱く
女性は出産すると育児を適切に行うために脳が変化して「母親脳」になり、愛情や共感、記憶などに関係する脳領域が大きくなり、知能が向上します。
世の中には仕事などが忙しくてイライラしたり、育児に疲れたりして母親が子供を虐待することもあります。
この虐待は子供の正常な脳の発達を阻害しますし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)のリスク要因です。
また、子供の頃に虐待を受けたお母さんは、自閉症スペクトラム障害の子供を産む確率が高くなり、虐待の悪影響は次世代まで続きます。
このような虐待をさせないためには、お母さんが母親脳にすることが大事で、母親脳を持ったお母さんが子供を虐待することはありません。
お母さんの脳を母親脳に変化しやすくするには、2つの方法があります。
それは「できるだけ自然分娩で子供を産むこと」と、「出産後は1時間以内に赤ちゃんを抱くこと」で、これにより個人差はありますがお母さんの脳は母親脳に変化していきます。
母乳で育てる
母乳で半年以上育てることは、発達障害のリスクを減らすとともに脳の発達に良い影響があります。
具体的にはポイントが2つあり、一つ目は母乳で半年以上育てることで、二つ目は赤ちゃんが母乳を飲みたいときに飲める「オンデマンド授乳」です。
母乳で育てることで子供がASD(自閉症スペクトラム障害)になる確率が2分の1以下に減少しますし、子供の知能も向上します。
最近の研究では母乳で長く育てられた成人ほど高学歴で高収入というデータもあります。
このように母乳が発達障害の予防や子供の知能が伸びる理由は、母乳に含まれるアラキドン酸(ARA)のおかげです。
これは脳の発達には、DHAやEPAのオメガ3脂肪酸やアラキドン酸(ARA)のオメガ6脂肪酸が重要なのですが、アラキドン酸(ARA)が脳の神経回路の発達を即すからです。
しかし、母乳がでないお母さんもいると思いますが、人工ミルクにもアラキドン酸(ARA)が添加しているものもあるので、そうした人工ミルクを子供に飲ませましょう。
母子の肌接触を頻繁にする
発達障害のリスクを減らすのに適した育児法は、密な母子コミュケーションとることで、できるだけ服の上ではなく肌接触で赤ちゃんを抱くことです。
肌接触で赤ちゃんを抱くことのメリットは、赤ちゃんが母乳を欲しくなったらすぐに飲めるオンデマンド授乳しやすくなり、赤ちゃんが不安になったらいつでも乳首を吸えることです。
また、赤ちゃんはお母さんの匂いが好きで安心感を感じるので、お母さんの匂いで脳の発達が即されます。
赤ちゃんを肌接触で抱くときは、オンデマンド授乳や母子のコミュニケーションをしやすくするために、背中ではなく胸のあたりで抱きます。
ただ、育児ではお母さんの不安や焦り、イライラなどはマイナスなので、疲れるのなら必要に応じて背中に背負ったり、ベビーカーに乗せたりしましょう。
育児をサポートしてもらう
育児においてお母さんの不安はNGで、子供の脳の発達には悪影響です。
育児の不安が強いお母さんは「自分の子は発達障害ではないか?」と疑っていろんな情報を集めて頑張りがちですが、その集めた情報に振り回されてますます不安を募らせるようです。
そんなときこそお母さんが孤独に育児をするのではなく、お父さんや祖父母、ママ友などのできるだけ多くの大人に育児サポートしてもらうことが大事です。
その方がお母さんだけでなく子供にも良く、複数の大人たちが赤ちゃんに接することが脳の発達に良い効果があることが分かっています。
家庭内不和や離婚は悪影響
誰でも分かるように家庭環境が悪ければ悪いほど子供の発育に悪影響です。
子供に対しての虐待(育児放棄も含む)はもちろんのこと、子供が夫婦喧嘩を見聞きしたりして、間接的なことでも子供に悪影響が及びます。
具体的には両親の家庭内不和の程度が大きいほど悪影響があります。
家庭内暴力(DV) を伴うと円満な夫婦に比べて、子供のLD(学習障害)率が約7倍高く、IQ(知能指数)は10ポイント低いと報告されており、子供が両親のDVを目撃するだけで脳が萎縮してADHD的な症状になるリスク要因となります。
また、母親が幼い頃に受けた虐待や妊娠前や妊娠中での夫のDVは、ASDの子供を出産するリスク要因です。
そして、家庭内不和に加えて離婚をして「ひとり親育児」になると、子供にはうつ病などの精神障害や反社会性などの人格障害といった悪影響がでます。
発達障害では子供がADHD的な症状になる確率が約1.5倍あり、その子が結婚すると家庭内不和や離婚する可能性が高いので負の連鎖が続いてしまいます。
なので、悪いことがあっても感情的にならずに対処して、できるだけ夫婦円満になるように心がけることが大事です。
食生活は和食中心にする
やはり良い脳の発達には良い食事をすることが大事で、できれば洋食ではなく和食中心の食生活にした方が発達障害を防止できます。
和食といえば白米ですが、白米だけで脳に必要な栄養素の70%が摂れるとされており、パン食の子供よりも米食の子供の方がIQ(知能指数)が数ポイント高いという調査もあります。
そして、脳に必要な栄養素の残りの30%は、和食の健康的でバランスの良い食材である「まごわやさしい」で摂取します。
(※「まごわやさしい」のそれぞれ頭文字をとって豆類、ごま類、わかめなどの海藻類、野菜類、魚や魚介類、しいたけなどのきのこ類、芋類のこと。)
特に子供の脳が急速に発達する時にもっとも良い食材は魚で、魚には脳に良いとされるオメガ3脂肪酸のDHAやEPAが含んでいます。
そして、魚に含まれる多種多様な栄養成分が組み合わさるとADHDの子供を改善させるサプリメントと同等の効果があり、魚はADHDの治療に使われても良い優れた食材です。
さらに魚はASDにも効果があり、魚介類に多いビタミンDはASDとADHDにも効果があります。
母乳に含まれていたアラキドン酸(ARA)やアミノ酸の一種であるシステインも魚には含まれており、サプリメントなどで通常以上に摂取するとASDの症状が多少改善されます。
ただし、幼児のサプリメント摂取は過剰摂取や副作用があるため、やはり食生活を和食中心にして特に魚を食べさせることがベストです。
非科学的な幼児教育やスマホを使用しない
幼児教育をして早い段階から学ばせることで、子供の能力を伸ばそうとする親御さんも多いですが、非科学的な幼児教育や早期英語教育などが発達障害的な症状を作ることがあります。
また、幼児のスマホやタブレット、ゲーム機の使用やテレビの長時間視聴による過刺激が脳の発達にマイナスになるので注意しましょう。
詳しい内容は【発達障害の原因】にまとめて書いています。
【発達障害の原因】ASD、ADHD、PDD、LDなどに共通する発達障害の原因
【発達障害まとめ】発達障害とは? 原因、診断名、症状や特徴、予防や治療法について
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