目標設定は「利己的な目標」と「利他的な目標」の2つが必要な理由!!
人が目標設定するときの動機は、自分のためなのか、家族やチーム、地域のためといった自分以外なのか、どちらか一方の動機だけで目標設定しがちです。
しかし、「利己的な目標」と「利他的な目標」の一本に絞った場合、どちらも大きなデメリットがあるため不十分なので、目標設定は「利己的な目標」と「利他的な目標」の2つが必要です。
では、なぜどちらか一方では不十分なのか詳しく説明します。
「利己的な目標」は自己実現のために必要
利己的な目標とは自己中心的な目標のことで、自分の才能や興味・関心を掘り下げたり、努力によってスキルを習得するためといった自己実現をするための目標です。
もしも、利己的な目標を持たずに自分のことをないがしろにして他人のために尽くした場合、以下のようなネガティブ要素に悩まされます。
他人のためだけに生きる人は不幸になる
日本人の親が子供をしつける時によく言いがちなのが、「他の人に迷惑をかけてはいけない」「他人を傷つけてはいけない」「人のためになることをしなさい」など、周囲の人を意識させるようにしつけることです。
一見「他人に迷惑をかけないこと」が良いように思いますが、他人に手間をかけさせない人はいませんし、何より子供に自分よりも他人を優先することが正しいと偏った考えを植えつけてしまいます。
自分よりも他人を優先する人の多くは人間関係で悩んでしまい、他人に気を使うこと、他人に気に入られることに囚われて、人間関係が苦痛を感じてうつ病やひきこもりになってしまいます。
そして、被害者意識が強くなり上手くいかないことを周りの人や環境のせいにする子供になってしまい、以下のような言動をするようになります。
- 他人を批判する
- 自分は正しく、相手は間違っていると思い込む
- 相手を正して変わることを要求する
- 愚痴が多い
- 自分は変わろうとしない
このように他人に囚われている人は、アドラー心理学の「課題に分離」をすることで対人関係を見直すきっかけになると思うのでお勧めです。
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人間関係よりも自己実現を優先する
子供をしつける時に重要なのは、自己実現と社会性を育むバランスを取りつつ、自己実現を優先させることです。
なぜなら、自己実現を優先して自分の精神を鍛えたり、能力を伸ばすことで、自分に自信が持てるようになると同時にスキルが高いと他人に必要とされるので、より社会に役立てる人間になれるからです。
逆に自己実現を後回しにすると精神的に幼く能力もないので、社会的に必要とされないため自信喪失してしまいます。
こうならないためにも、まず興味・関心があることを最低一つ極めることが大事で、人工知能が発達した今後の社会では特に、利己的な目標設定して努力して高いスキルを身に付けることが何よりも優先すべきことです。
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社会的に成功するために「利他的な目標」が必要
利他的な目標とは、利己的に目標で身に付けたスキルを社会のためにどのように役立て、世の中に貢献できるか考えるための目標のことです。
もしも、利他的な目標を持たずに自分が身に付けたスキルを自分のためだけに使う人は、以下のようなネガティブ要素に悩まされます。
自己中心的な動機だけでは孤独な人間になる
文化が大きく異なるアメリカと日本で、「自分のための目標」と「自分よりも大きな目標」を持つのとでは、学業上の成功や、仕事のストレス、個人的な人間関係、健康状態にどのような影響があるか調べた研究があります。
この研究では、利己的な目標(自分のための目標)だけに努力していると、頭が混乱して不安や怒りを感じたり、妬みや孤独に苛まれていき、長く続くとうつ病になる可能性が高いことがわかりました。
これは自分の能力を証明することばかり考えて他人をないがしろにする人は、周囲の怒りを買って嫌われるので周囲からの支援を受けられなくなり、成功して高い地位を手に入れても周りは敵だらけなので、不安と孤独感を強くなるからです。
一方で利他的な目標「自分よりも大きな目標」で努力すると、良い気分でいられるようになり、希望、好奇心、いたわり、感謝の気持ちが湧いてきたり、発想が豊かになります。
さらに、健康状態も良く幸福で、人生に対する満足度が高くなることがわかりました。
これは自分のスキルを他人のために使う人は、結果的に強力なネットワークを築け、仲間と支え合えるようになるため、周囲から尊敬されたり好かれるからです。
経済的な成功はできない
「将来は自分の好きなことで食っていきたい」と夢を思い描く人も多いですが、プロになって夢を叶える人もいれば、夢破れる人の違いは何なのでしょうか?
好きなことで食っていくには、他人から支持を得て収入を得る必要があるため、自分がやりたい事だけをしていては人気は出ません。
そのため、自分の理想と周囲が求めるものとのバランスをとって、他人を喜ばせることができるかどうかが、プロとアマチュアを分けると私は思います。
人の趣味嗜好は日々変化しており、ファッションや音楽、映画、舞台、文学、製品など、その時代によって流行りすたりがあります。
アマチュアの人は、時代によって変化する流行りすたりをあまり分析しないで、自分が作りたい理想だけを考える傾向が強いです。
そのため、一発屋芸人のようにたまたま時代にあった芸で売れたとしても、時代に沿った適応ができないため、飽きられて一発屋で終わりますし、そもそも売れない可能性の方が高く経済的に成功できません。
しかし、プロは常に客やスタッフのことを意識し分析して、周りが求める物を提供しようとするため、周りから支持されて必要とされます。
ただ、視聴者や消費者に迎合しすぎると無難でつまらない作品を作ることになるため、自分の理想や個性と周囲が求めるものとの絶妙なバランスをとり、周囲に理解されるが新鮮さを保つ必要があるため常に悩んでいます。
まとめると、利己的な目標で自分がやりたい事だけでは、他人の支持を得る事ができないので、利他的な目標を持って他人のために自分のスキルを生かさないと経済的に成功しないという事です。
一番の努力家は自分の興味を追求して能力を他人のために使う人
人は自分の成功を考える時、自分の利益だけを追求して能力を伸ばす自己中心的な動機、他人のために尽くす利他的な動機を両極端に捉えて、どちらか一方の動機で考えがちです。
私の場合は、他人のために尽くすという動機を持たずに、自分の利益を考えて能力を伸ばす動機だけで行動していたため、人間関係が希薄になりがちです。
全米トップのビジネススクールであるウォートンスクール教授のアダム・グラントの研究によると、自己中心的な動機と利他的な動機は完全に別のもので、両方の動機を持つことができるとのこと。
そして、100%自分のことを考えて行動する人よりも、自分と社会のことを考えて行動する人の方が、長い目で見ると成功する確率が高いことが明らかになっています。
その証拠に、消防士に対する調査で仕事の動機と残業時間の関係を調査では、当初は「人びとを助けたい」という動機が強い消防士は人一倍働くと考えられていました。
しかし、「人びとを助けたい」という動機が強い消防士の大半は、仕事に対する興味が欠けていたため、他の消防士と比べて残業時間が少ないという結果でした。
つまり、人のために尽くしたいという立派な動機を持っていても、本人の興味・関心が欠けていては大きな努力はしないのです。
一方で仕事に興味・関心があって利己的な動機と、人のために尽くそうとする利他的な動機の両方を持っている人は、週の残業時間が平均より50%以上も多く、人一倍努力していました。
なので、人生の目標設定をする場合は、利己的な目標と利他的な目標の2つの目標設定が必要なのです。
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