私たちと共にある感情とは何か?感情心理学まとめ

まとめ,感情心理学

感情は、私たちにとって在って当たり前なもので、生まれてから死ぬまで一生付き合います。

しかし、私たちは感情について知っているようで知らないことが多いです。

そこで「感情とは何か」教えてくれるのが、感情について研究している分野の感情心理学です。

この記事では、感情心理学を大まかにまとめて紹介しているので、是非読んで見てください。

感情とは

感情について、初めて科学的な研究を行ったのは、19世紀のダーウィンだとされています。

ダーウィンは、人間の表情と動物の表情には近似性があり、感情は動物の生存にとって必要あるいは有益であったので、進化の過程を経て持続し洗練されてきたと考えました。

そこから感情についての研究が進み、いろんな仮説が立てられました。

ただ感情の特性や機能は多岐に渡るためか、感情研究の専門家でも「感情とは何か」と、厳密に定義することは難しいようです。

あえて感情とは簡単な説明をするとこんな感じです。

感情とは、ヒトなどの動物が物事や対象に対して抱く気持ちのことで、精神や身体に影響をもたらす普段とちがった動き。

私たちは感情によって静かだった心が乱されたり、脈拍が乱れたりしますが、その感情の動きによって、感情が動いた体験を特別なものと捉えます。

あるいは感情とは、人が心的過程の中で行うさまざまな情報処理のうちで、人、物、出来事、環境についてする表的な反応。

対象を良い悪い、危険安全、有用有害、好き嫌いなどの軸に感情によって位置づけて、私たちに認識させます。

このように感情は精神や心身ともに関係しており、一言で表すには範囲が広すぎます。

感情がある理由(感情研究の仮説)

先述したように、感情を定義することは難しいことです。

これは専門家の間でも意見が分かれているからで、専門家の間では4つの仮説に分かれています。

  • 感情進化説(感情は遺伝である):環境で生き残るために進化の過程で取捨選択されて遺伝として感情が伝えられた。
  • 感情身体説(感情は身体的反応である):恐怖を感じると心臓がドキドキしたり、悲しいと心臓が締め付けられたりと、身体的な感覚の伴わない感情など考えられない。
  • 感情認知説(感情は思考である):人は考え方を変えることで感情をコントロールできるようになる。
  • 感情文化説(感情は文化である):その感情を表し、それがどう受け止められるかは、その文化の約束ごとで決まります。男が人前で泣くのは男らしくないという文化では、男性は悲しくても我慢します。

以上の4つの仮説のうち、どれが正しいというものでなく、どの仮説も正しく関係しています。

確かなのは、感情は私たちの人生に強く影響を与えるということです。

基本感情(感情の種類)

1872年にチャールズ・ダーウィンは、基本的な感情として6つの感情をあげました。

それは「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐怖」「驚き」という6つの基本感情です。

心理学者のポール・エクマンによれば、基本的感情を見分けるために次の5つの基準を挙げています。

  • 突然感じられること:感情とは出来事が起こったり、思考が浮んできたりした時に生じる反応である。
  • 長く続かないこと:悲しみが長く続くとしたら、それは悲しみの感情ではなく、悲しい気分である。
  • 他の感情と区別がつく:青と赤の区別が容易につくように、恐怖と怒りは容易に区別がつく。だが不安と恐怖は区別が曖昧なので、同じ仲間の感情と考えられる。
  • 赤ん坊にもあること:他の感情とはっきり区別できる。
  • 特有の身体反応を伴う:脳の活動や血流の変化がある。

また、エクマンは感情進化説を支持する研究者なので、上の5つの基準に次の基準を加えるべきだとしています。

  • 普遍的な表情をもっている:文化の違いを超えて、喜びの表情を見れば、相手に喜びが伝わる。
  • 同じ経験をしたら誰もが感じること:大切な人を失ったら悲しみを抱くといったこと。
  • 類人猿にも同じような感情が見られる:チンパンジーでも喜びを表現するが、基本感情というなら同様のことが観察される必要がある。

以上のような基準を満たすものは、基本感情だと言えます。

ただアメリカのカリフォルニア大学バークレー校の研究によれば、人間には6つの基本感情に加えて全27種類の感情があるとも報告。

研究では、赤ちゃんの誕生、結婚、脂肪、クモ、自然災害、広大無辺の世界など、再生時間が全て5秒から10秒間の動画を2185本収集し、800数名のボランティアに内30本の動画を閲覧してもらい、自分の感情を報告してもらいました。

その結果、彼らが感情は27種類のカテゴリーに分類することができました。

その27種類の感情とは、敬服・崇拝・称賛・娯楽・焦慮・畏敬・当惑・飽きる・冷静・困惑・渇望・嫌悪・苦しみの共感・夢中・嫉妬・興奮・恐れ・痛恨・面白さ・喜び・懐旧・ロマンチック・悲しみ・好感・性欲・同情・満足でした。

ただ米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された論文によれば、どの感情も単独で存在しているわけではなく、他の感情とセットで共存しています。

そのため、やはり27種類の感情があるのではなく、6つの基本感情の組み合わせにすぎません。

4つの感情機能

ときに喜びや幸せを運んでくれたり、不安や恐怖、怒り、悲しみなど、感情に振り回されて煩わしいと思うことがあります。

こんな感情について「感情って何のためにあるの?」と、疑問を思ったことはありませんか?

主に感情には4つの機能があると考えられています。

どの感情機能も私たちにとって重要な働きがあるので紹介していきます。

【4つの感情機能の詳細】感情って何のためにあるの?人間の根幹を成す4つの感情機能 – 感情心理学

感情表現と感情を読み取る方法

感情がある1つの理由は、感情によるコミュニケーション機能によって、お互いが理解しあえることです。

私たちは感情的になると顔の表情、声色、しぐさという信号を無意識的に発信してます。

他者は、その信号を読み取ることで、発信者が今何を感じていたかを理解して、適切なコミュニケーションをとることができます。

逆に言えば、常に無表情で、声色やしぐさも変わらない発信者は、何を考えているのか理解できないので、コミュニケーションが取りづらい感じます。

そして、感情の信号を上手く読み取れない受信者も、発信者の感情信号を理解できないので、コミュニケーション下手になります。

【感情表現の方法の詳細】感情を読み取る、感情を伝える!感情表現を伝える信号

性格と感情の関係性(遺伝と感情)

感受性の豊かな人とそうでない人といった感じ方には個人差があります。

これは遺伝によって感情のベースラインが決まっているためです。

また、「どんなタイプの人は、どのような感じ方をするのか」といった、性格と感情の関係性について紹介します。

【性格と感情の関係性の詳細】遺伝で決まる感情のベースライン!性格と感情の関係性

感情と気分の違い

「感情と気分って何が違うの?」と疑問に思ったことはありますか?

感情(emotions)と気分(mood)は言葉は違いますが、感じているという点では似ており、感情が爆発する前兆として気分が優れずに落ち込んでいたり、イライラしていることがあります。

そして、精神病に共通するのが感情ではなく気分に関する症状であることから、感情と気分の違いを知ることも必要なことです。

感情心理学では、感情と気分では明確に区別している点があるので紹介していきます。

【気分と感情の違いの詳細】感情と気分って何が違うの?感情と気分の境界線について【感情心理学】

感情と病気

感情の中には、病気・精神疾患に関連しているものがあります。

その感情は適切にコントロールされているのなら問題ありませんが、感情のコントロールができず暴走してしまう場合、病気・精神疾患にかかることも。

では、どの感情の暴走が、病気・精神疾患に関連しているのか紹介していきます。

【感情と関連する病気まとめ】コントロールできない感情に注意!感情と関連する病気まとめ

感情に関連する参考書籍

ここでは感情心理学をもっと知りたい人のために書籍を紹介します。

感情の表情についてポール・エクマン著書や海外ドラマがおすすめ

感情心理学について学ぶきっかけになったのが、この心理学者のポール・エクマンがモデルに作られた「ライ・トゥ・ミー」というドラマが本当に面白い。

感情には固有の表情があります。

その特性を使って、ある相手に質問したときの微表情を読み取ることで、その相手が「本当のことを言っているのか、はたまた嘘をついているのか」を見抜くというドラマ。

感情心理学に興味がない人でも、このドラマを見ると興味が湧いてくるかも。

このドラマを見てから、ポール・エクマンの著書を読むと、さらに面白く感じます。

感情心理学の入門書として良い本

感情に関する本の中では、専門的な用語が少なく簡単で読みやすい「感情力」はおすすめです。

専門的に感情心理学を学びたい人にとって「感情心理学・入門」は、全体像をつかむに良い本です。

感情心理学の専門書

ここで紹介する本は、初心者の人には難しい本ですが、専門的に学んで見たい人は読んで見てはいかがでしょうか。

私が実際に読んでいない本も含まれるので、参考程度に。