一流の起業家、科学者、デザイナーの経験から分かる!斬新なアイデアを生みだす2つの方法
クリエイターだったら、誰にも思いつかないような斬新なアイデアをひらめいて実現させたいと考えます。
そして、できれば素晴らしいアイデアが世界に広まり、自分も作品も多くの人に評価されたいでしょう。
しかし、ポンポンそんな斬新なアイデアが出てくるものではありません。
そこで、一流の起業家や科学者、デザイナーの経験から、どのように斬新なアイデアが生み出されるのか紹介します。
最高の創造力は「幅広い経験」と「深い経験」で発揮する
人の特性のなかで「創造的な業績」ともっとも強く相関するのは「経験への開放性」です。
「経験への開放性について」性格診断「ビックファイブ」の経験への開放性まとめ
この経験への開放性が強い人たちは、自分の専門分野とは関係ないと思われる分野にも幅広く関心を持ちます。
たとえば、ノーベル賞受賞者と功績が低い科学者との比較でも見られます。
ミシガン州立大学の研究で、1901年〜2005年までにノーベル賞受賞したすべての科学者と同時期の一般的な科学者とを比較する研究を行いました。
当然、この両グループの科学者は、その分野において深い専門性を持っており、知識レベルに差はありません。
違いはノーベル賞受賞者は一般的な科学者よりも芸術にたずさわる割合が、並外れて高いということ。
次の表でわかる通り、違いは顕著です。
芸術関連の趣味 | 一般的な科学者と比較した場合のノーベル賞受賞確率 |
音楽 (楽器演奏、作曲、指揮) | 2倍 |
美術 (素描、絵画、版画、彫刻) | 7倍 |
工芸 (木工、機械、電子機器、ガラス吹き) | 7.5倍 |
文筆 (詩、戯曲、小説、短編、エッセイ、一般書) | 12倍 |
舞台芸術 (アマチュア演劇、ダンス、マジック) | 22倍 |
また、この創造的な業績がある人が芸術にたずさわる傾向があるのは、科学者だけではありません。
起業家や特許の申請に貢献した人(発明家)、その他の一般的な人たちと比較して、スケッチや絵画、建築、彫刻、文学などを趣味にしている確率が高いという研究の結果でした。
つまり、その分野で最高の創造性を発揮して業績を残す可能性を高めるには「深い経験(知識)」にくわえて「幅広い経験(知識や芸術活動)」が必要だということです。
では、なぜこのような結果が出たのでしょうか?
それは経験への開放性の高さは「認知的脱抑制」と関係があり、一般的な人が無視する情報を受けとっているため、芸術(イメージや音、文字など)に関心が寄せられるからだと考えられています。
そして、その芸術が創造性のヒントとなって、科学やビジネスでの新たな視点(斬新なアイデア)を生み出しています。
文化的なレパートリーを広げる
斬新なアイデアを生み出す人になるには、教養の幅を広げる以外にも、文化的なレパートを広げることで誰でもアイデアの引き出しを増やす方法があります。
創造性の高い成人を対象にした研究によると、子供時代によその土地での生活を経験した頻度が、一般の人たちよりもかなり高いことがわかっています。
この件に関して、戦略を専門とするフレデリック・ゴダート教授のチームは、海外で過ごした経験が創造性に与える影響について調べました。
この調査では、ファッション業界に焦点をあて、21シーズンの何百ものメーカーがプロデュースしたコレクションに対する、バイヤーとファッション評論家の評価を追い、各コレクションのクリエイティブ・ディレクターの経歴をたどりました。
すると、もっとも創造性なコレクションは、ディレクターの海外経験がもっとも豊富なブランドのものであり、次の3つの興味深い点がありました。
1つは、海外に住んだ時間は関係なく海外で活動的に仕事をした経験が、新しいヒットの指標になったことで、オリジナリティのもっとも高いコレクションは、2〜3ヵ国で仕事した経験のあるディレクターのものでした。
2つ目は、接した外国が自国の文化とかけ離れているほど、創造性に与える影響は大きいことで、単に文化のことなる複数の国で働くだけでは不十分で、アメリカ人が韓国や日本での経験から得られたオリジナリティと比較すると、アメリカ人がカナダで働いた経験で得たものは少なかった。
3つ目は、もっとも重要だったのは「経験の深度」で、どのくらい長く海外で仕事をしたかが重要であり、短期間の仕事で得るものはほとんどありませんでした。
なぜなら、短いあいだ仕事をしただけでは、外国の文化から得た新しい概念を自分のものとして取り入れ、古い考えと組み合わせるには時間が足りないからです。
もっともオリジナリティが高いと評価されたコレクションは、海外勤務経験が35年あるディレクターでした。
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