有益なフィードバックが努力中の無気力やスランプを防止する
勉強やスポーツ、仕事の能力向上のために誰でも努力することがありますが、努力をしたけれど成果がないことで挫折して「努力をする意味がない」と無気力になって努力をやめてしまいます。
心理学では動物や人が無気力になってしまう原因が分かっており、無力感や無気力を回避して、諦めずに努力を継続する方法があるので紹介します。
人間が無気力(学習性無力感)になる理由
1964年にマーティン・セリグマンとスティーブ・マイヤーは、窓がない実験室で2匹の犬をケージに入れて後ろ足に警告なく不規則に電気ショックを与えられる実験を行いました。
2匹の犬とも同じ間隔で同じ強さの電気ショックを与えて、片方の犬だけ鼻先にあるパネルを押すと電気ショックがすぐに終わる細工をして、もう片方には電気ショックを止めることができないようにしました。
つまり、鼻先にパネルがある片方の犬だけ電気ショックをコントロールでき、ストレスを与えられた時に問題解決できるということです。
実験は電気ショックを64回に達すると犬を小屋に戻して、また別の犬を連れてきて同じ手順を繰り返しました。
翌日に実験を再開して、犬たちは「シャトルボックス」というケージに一頭ずつ入れられ、ケージの真ん中には犬が飛び越えられる低い壁があり、高い音が鳴ると直後に犬がいる方の床に電流が流れる細工がしてあります。
すると、電気ショックをコントロールできた犬は例外なく音が鳴ると低い壁を飛び越えて安全地帯へ避難しましたが、電気ショックをコントロールできなかった犬は床に横たわってクンクン鳴き、電気ショックが終わるのを待つだけでした。
続いて同じような実験をサカナ、ネズミ、ネコ、サル、ヒトでも行いましたが、結果は犬と同じでした。
この実験結果で動物や人が無気力になるのは、苦痛そのものではなく「何をしても意味が無い」「苦痛を回避できないと思うこと」である学習することで「逃れる努力すらしなくなる」と証明されました。
これをポジティブ心理学では「学習性無力感(学習性無気力)」と言います。
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無気力を回避して努力するには有益なフィードバックが大事
電気ショックの実験のように学習性無力感(学習性無気力)になった動物や人は、長期的にストレスの回避困難な環境に置かれると、その状況から逃れようとする努力すらしなくなります。
しかし、電気ショックをコントロールできる犬のようにストレスや苦痛を回避できる手応えを感じる(フィードバックを得る)と、無気力にならずに問題解決をする努力をします。
これは仕事やスポーツ、学習などの技能向上のための努力も同じです。
人が努力をするとき、努力に見合った手応えを感じられなかったり、改善点が見当たらず問題解決できないと挫折してしまう可能性は高まります。
そして、時間の経過とともに無気力となって努力を諦めて成長を止めてしまいます。
つまり、自分の努力の結果「自分が成長できたのかどうか」「成長してないならどこが悪いのか」などの、フィードバックで客観的に努力を測れないため努力できなくなるということです。
しかし、逆を言えば努力によって有益なフィードバックを得て努力を評価する材料があれば、手応えや改善点を模索できるため無気力にならずに努力を続けられます。
そのため、無気力にならずに努力を継続して成長するには有益なフィードバックを得て努力を評価する材料を集めることがまず大事なのです。
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