出産と育児に重要!女性・母親に対するオキシトシンの役割と効果
オキシトシンには出産と授乳、子育てに重要な働きをするホルモンです。
特に子育てが上手にできる母親になれるか、子育てに熱心な母親なれるか、カギを握るのはオキシトシンです。
そんな母親に対するオキシトシンの役割と効果を紹介していきます。
男性よりも女性はオキシトシンに影響される
オキシトシンは後述するように出産と授乳に関係が深いホルモンで、男性よるも女性の方がオキシトシンの影響を大きく受けます。
これはオキシトシン受容体の機能が、女性ホルモンのエストロゲンによって向上し、さらにオキシトシンの効果の中にはエストロゲンによって促進されるものがあるからです。
そのため、お父さんよりもお母さんの方が、より子供に強い絆を感じますし、子供にとってお母さんは特別な存在になるのです。
出産と授乳でのオキシトシンの役割
陣痛を促進する
1909年にイギリス人のヘンリー・デール卿が、下垂体後葉からの抽出物が妊娠中の猫の子宮収縮を起こすことで発見されました。
この抽出物がギリシャ語で「速いお産」という意味のオキシトシンと名付けられました。
現在では分娩中の女性の陣痛を誘発したり、促進したりするためにオキシトシンは使用されています。
授乳中の射乳を促進する
オキシトシンが子宮収縮を起こす以外に、オキシトシンは乳腺に乳を蓄える小さな袋である乳腺胞の収縮を刺激することも発見されました。
母乳を与えていると、母体ではすべてのオキシトシン産生細胞が活性化します。
この活性化が約90秒間隔になると、オキシトシンのパルスは下垂体後葉から血流に入り、一回のパルスごとに乳腺を取り囲んでいる筋肉が収縮して、母乳を排出しています。
医療では母乳育児をしたい女性が母乳の出にくい場合に、オキシトシン薬を使って射乳を促進しています。
母乳を作るプロラクチン放出を促進する
母乳に関係するホルモンで代表的なのが、プロラクチンとオキシトシンです
プロラクチンは、乳汁分泌ホルモンと言われるように、妊娠中は乳腺を発育させ、出産後は乳汁の分泌を促進するホルモンです。
役割を簡単に説明すると、母乳を作り出す「プロラクチン」、作られた母乳を分泌させるのが「オキシトシン」です。
また授乳中に放出したオキシトシンはプロラクチンの放出を促進します。
つまり、赤ちゃんに母乳を飲ませるほどオキシトシンとプロラクチンが分泌されて、母乳の出もよくなります。
子育てに関わるオキシトシンの効果
母親が育児に熱心になれるかどうかは、オキシトシンによって決まります。
もし母親のオキシトシン不足なら、育児放棄をする可能性が高くなります。
母性行動を即して熱心に子育てをする
ウシやヒツジ、サル、ラットなど哺乳類はオキシトシンが脳に供給されれば、母親の子育てのスイッチが入ることが明らかになっています。
そして、母子の相互作用は自分の子だけでなく他の子に対しても増します。
例えば、メスのラットがオキシトシンを受け取ると、脳にオキシトシンが供給されなかった場合よりも、積極的に巣を作り、子を舐め、乳を与え、守ってあげる行動をとります。
また哺乳類の母親が拮抗薬を用いてオキシトシンの効果をブロックされると、養育行動が無くなります。
しかし、オキシトシンが投与されると母性行動が戻るので、オキシトシンは母親の母性行動が即して熱心に育児をする効果があることが分かります。
もちろん哺乳類である人間も同じです。
実際、オキシトシンが多い母親の方が、赤ちゃんへの気配りが多く、赤ちゃんの要求を理解しやすく、赤ちゃんと目を合わせることがずっと多く、母親らしい言葉づかいで赤ちゃんに話しかけます。
この母性行動は通常、出産時と授乳時にオキシトシンが放出されることで刺激されます。
母乳育児でストレス減少させるリラックス効果
母親は授乳のたびにオキシトシンが脳内で放出されるので、母性行動が促進されますが、他にも母親のストレスを減少させるリラックス効果があります。
母親が母乳を与えるたびに、血圧が低下し、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが低下します。
これは授乳するたびにオキシトシンが放出されることで、他の伝達システムの機能にも影響を与えた結果で、このオキシトシン効果は長期間に渡って特定のストレス関連の病気から母親を保護します。
実際、大規模な臨床調査によると母乳育児をして、授乳期間が長ければ長いほど「心臓発作、脳卒中、高血圧、二型糖尿病」などから母親が守られます。
母子の触れ合いを容易にする
オキシトシンは自閉症の患者の社会性を向上させることでも知られています。
これは先ほどの説明通り、オキシトシンの不安と恐怖を和らげる効果と絆や愛情、信頼を築く効果があるからです。
この2つのオキシトシン効果によって、初めて見る人への恐れる気持ちを一時的に遠のかせて、お互いの気持ちに共感しやすくします。
このオキシトシンの社会性を向上させる効果は母子の触れ合いを容易にします。
されにオキシトシンは嗅覚を高めて、母と子のお互いのにおいを学習しやすくしており、母子はすぐにお互いを識別するようになります。
子供を守ろうと警戒心が強くなる
子供を抱いている母親は、普段よりも心穏やかに落ち着いています。
一方でオキシトシンによる強い絆があるため、母親は子供を守るために悪影響があるものや危険から子供を守ろうとします。
母親は子供を守るために、母親は不安と緊張が増して、見知らぬ人に会ったり、家から出たり、暴力的なテレビ番組を見たりする危険な行為や有害なものを警戒し、リスク回避をします。
そして、他の哺乳類に見られる母性攻撃のように、子供の安全を脅かすものには非常に攻撃的にもなります。
ただ行き過ぎた警戒心によって不安と緊張が強くなり、眠れなくなったり、うつになったりすることもあります。
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