ドーパミンの過剰が原因の病気 | 依存症、統合失調症
やる気、集中力、記憶力など学習関係やポジティブ感情、行動力に関係するドーパミンは、正常に分泌されていれば幸せホルモンとして作用します。
しかし、ひとたびドーパミン過剰になってしまうと「統合失調症」や「依存症」になって、私たちの人生を狂わせる可能性もあります。
統合力が低下する精神疾患「統合失調症」
統合失調症(Schizophrenia)とは、思考や行動、感情を1つの目的に沿ってまとめていく能力(統合力)が、長期間に渡って低下する精神疾患で、昔は「精神分裂病」と呼ばれていました。
厚生労働省の調べでは、統合失調症は約100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。
発症は思春期から青年期という10代後半から30代が多い病気で、発症の頻度にあまり男女差はありません。
統合失調症の症状には大きく陽性症状と陰性症状の2つに分かれ、その特徴には次のような違いがあります。
- 陽性症状:幻覚、妄想、思考障害
- 陰性症状:感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如、自閉
統合失調症の根本的な原因はまだ全てが解明されていませんが、遺伝要因や環境のストレス要因などが原因だと予想されています。
その中で一つの仮説としてあるのが「脳内のドーパミン過剰が原因」という仮説です。
これは統合失調症の治療薬が、ドーパミン拮抗作用(ドーパミンを遮断する)がある「抗精神病薬」が投与されて、陽性症状を中心とした症状の軽減に有効だからです。
また、抗精神病薬による治療で幻覚や妄想といった症状が改善しても、継続して薬物療法を行わないと数年で60〜80%の患者が再発します。
逆に抗精神病薬による治療を継続しると再発率が減少することからも、統合失調症にドーパミン過剰が何かしら関与していることがわかります。
やめたくてもやめられない病気「依存症」
依存症とは、何かしらの習慣的な行動が自分の生活や人生にダメージを与えているのに、自分の意思ではやめられない状態の病気を言います。
この依存症には主に「物質への依存」と「プロセスへの依存」の2種類に分類できます。
物質への依存は、精神に作用して依存する物質が原因の依存症状で、たばこ、アルコール、薬物などがあります。
プロセスへの依存は、物質ではなく特定の行為や過程に必要以上にのめり込んでしまう依存症状で、ギャンブル、ゲーム、スマホなどがあります。
そして、どちらの依存症状も共通して、繰り返す、より強い刺激を求める、やめようとしてもやめられない、いつも頭から離れないなどの特徴がだんだん強く出てきます。
依存症になってしまうのは、強い快楽が得られる物質やプロセスによってドーパミン過剰に分泌されてしまうことが原因です。
ドーパミンは「快感を得たとき」と「快感が得られるとわかっているとき」に分泌されて、人間にその快感を覚えさせて、さらに手に入れるように繰り返し指令を送ります。
そして、脳は刺激に慣れてしまうので、快楽を得ても弱い刺激では満足できません。
なので、薬物などで一度に強い快楽を覚えるとドーパミンが過剰に分泌されて、その強い快楽を繰り返し手に入れないと満足できませんし、自分のベースラインよりも弱い刺激でも満足できないのです。
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