「シンプルに考える」[著]森川亮(元LINE株式会社CEO)
著者が元LINE株式会社のCEOだった森川亮さんである事と単純に「シンプルに考える」というタイトルに惹かれ購入してみました。
「シンプルに考える(本質を見抜く)」ことは、変化の激しい時代にとって重要な事だと私は思っており、生活のあらゆる物をシンプルに研ぎ澄ますことが変化に対応していく鍵だと思います。
本書「シンプルに考える」は著者である森川亮さんが、LINEのプロジェクト立ち上げから世界有数のグローバルサービスまでに育てた経験と実践した企業経営の具体的な方法について書かれています。
「経営本なら読まなくていいや」という人もいると思いますが、今をシンプルにしていくというのは、物事の本質的なことを考える話なので知識としても汎用性が高く、自分の人生計画や家族計画など活用できる場は多いと思います。
シンプルにユーザーが求めているものを与える
本書では、ビジネスをシンプルに考えて「ユーザーが求めているものを与えること」がビジネスの本質だと考えた上で、2つのことを重要視しています。
- ユーザーだけを見て求めるものを具体的なカタチにすることだけに集中する
- チームが能力を最大限に発揮できる「環境作り」と「維持する方法」
この2つに重点を置くことがビジネスを成功させる秘訣であり、この2つの事にズレが生じると「商品が売れないから値下げしよう」という逃げに走ってしまいます。
ビジネスの本質だけに集中する
森川亮さんは、ビジネスの本質は「求める人と与える人のエコシステム(生態系)」だと言っています。だから、以下のことを意識しないと本質からずれてしまうと考えたようです。
- ビジネスは「戦い」ではない
- 経営は「管理」ではない
- 「お金」を中心に考えない
- 会社は「人」がすべて
この言葉の意味を考えた時、「お金がない」人類が狩猟生活をしていた時代のことを考えてみました。
人類が狩猟生活をしていた時代、狩りをするのに弓などの武器が必要です。この時、狩りが上手い人は狩りをして、武器を作ることが上手い人は武器を作った方が、チームの利益を最大化できます。
つまり、仕事を「シンプルに考える」と、自分の得意なことに集中してチーム内で仕事を分業することが仕事の本質でビジネスも同じです。
多くの人や企業が「お金のために仕事をする」「ユーザーを無視する」「利益を得るためにビジネスをする」「管理して力でチームに制限をかける」「ライバルと競争する」「自己満足のためにやる」という行動をしがちです。
その時は成功できても成功し続けることができないのは、ユーザーから目を離して本質からズレた違う何かを見ているからでしょう。
シンプルに自分の能力を人のためにどう役立てるか考えて集中できる人だけが成功できるという事です。
チームの能力を最大化する方法
本書ではチームの能力を最大化するために、会社の無駄をなくしてスマート化し、それに代わる新しい方法を考えています。
私はCEOではないので経営についてよく知りませんが、そんな私が「これは良いな」と思ったものがあったので少し紹介します。
「人事評価」をシンプルがベスト
人事評価をする時、一般的に「この項目は何点、この項目は何点」と上司が社員を評価しますが、これは本当にダメなやり方だと日頃から思っています。
なぜなら、本書でも書いてあるように「大した仕事をしない社員が上司の機嫌取りをする」みたいに、評価システム攻略しようとする社員がいるからです。
つまり、仕事に集中して打ち込む社員ほど損をするシステムであることです。この点に関してもっと考えなければいけません。
「事務方」はいらない
私も日頃から本当に疑問に思っていることですが、なぜかユーザーのために商品を作っている現場の人間よりも、事務方の方が権威を持ち、偉い立場にいることです。
事務方は計画をつくって、現場に実行させます。計画通りにいかなければ現場の責任にされ、うまくいけば手柄を事務方に持って、事務方が偉くなっていきます。
こうのような会社は危ないと私は思います。
ものづくりをしない人間が偉くなると、お金のことや新しいチャレンジを歓迎せずに現状維持を考えて、ユーザーが求める良い商品を作らなくなるからです。
しかも、優秀な人ほど自分がやりたい目標を持っているので、仕事がヤリずらいと感じると辞めてしまい、ライバル会社に転職してしまう可能性も大いにあります。
天才は一人では成功できないので他の雑用をサポートする人が必要だと言われることがありますが、事務方はそのサポート役であって主役ではありません。
仕事・生活を「シンプルに考える」ことから始めよう!
普段私たちは面倒くさがって無駄な事を多くしがちですが、仕事や生活の一部を少しづつシンプルに変えていけば、自分にとって何かとやりやすい、生きやすい環境にできるのではないかと思います。
本書「シンプルに考える」は、ビジネスパーソンに向けて書かれた本ですが、企業に勤めない個人で頑張っている人にも読んでほしい本です。
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