思考力や記憶力、感情コントロール向上!ワーキングメモリを鍛える方法
ワーキングメモリを鍛えれば、思考力や記憶力、感情コントロール、集中力などの脳機能も高まりイイコトばかり!
強いワーキングメモリの効果は人生の広範囲にわたり、学習能力アップや仕事での成果、コミュ力向上、イライラ防止、うつ病やADHDなどの発達障害の改善などもあります。
ワーキングメモリを鍛える方法は、学習、音楽、ゲームや日常生活といった場面で簡単に鍛えることができるのでチャレンジしてみましょう。
ワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法の基本
ワーキングメモリは作業記憶というように、脳内に情報を留めつつ意識的に情報を処理する能力のことです。
そのため、ワーキングメモリを鍛えるトレーニングは、記憶した情報を脳内に取り出して意識的に処理するトレーニングを繰り返し行うことで強化されます。
ただし、年齢やワーキングメモリの強さの程度によってトレーニングの負荷を考えないとワーキングメモリはちゃんと鍛えられません。
例えば、ワーキングメモリのトレーニングを筋トレと同じだと考えると、成人男性が1kgのダンベルで筋トレしても効果は期待できませんが、幼い子供だと大きい効果が期待できます。
勉強でワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法
勉強でワーキングメモリを鍛えるトレーニングを紹介します。
2桁以上の掛け算を暗算する
大人になって何か計算をするときは電卓を使うことが多いですが、そこをあえて掛け算を暗算するとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
ただ「8×4=32」のように、1桁の計算は頭に式の途中を記憶することがないのでトレーニングの意味がありません。
暗算のトレーニングは、計算の途中を覚えつつ暗算しないとトレーニングにならないので、2桁以上で暗算するようにしましょう。
外国語の勉強をする
あらゆる年代のバイリンガルを対象にしたワーキングメモリの研究では、複数の言語を使い分けるバイリンガルと1カ国しか話さない人とを比較した場合、バイリンガルの方がワーキングメモリを含む認知能力が優れているという結果が出ています。
これは新しい言語を学ぶと、知らない単語、発音、意味を覚えて活用しないといけませんし、言葉を長期記憶に保存するためにワーキングメモリを活用しないといけないからです。
そのため、新しい言葉を覚えて活用する外国語の勉強はワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
ただバイリンガルが良いからといって子供に早期英語教育をするのは注意。
脳科学者から言わせれば、3歳未満の子供に対する早期英語教育はデメリットだらけだそうです。
特に0歳から英語のDVDを使う教材によって、健康な子供が発達障害の自閉症スペクトラム障害(ASD)的な症状がでる事例が多数あり、脳機能障害になる危険性もあります。
学びを他人に伝わる文章で要約する(成人でも効果大)
学業面でワーキングメモリは読書するだけでも向上しますが、もっとワーキングメモリを鍛えたい場合は、勉強したことを他人が読んでも伝わる文章で要約するとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
要約することは、学んだことを記録・記憶して、大事なポイントを抑えながらまとめます。
いる情報はどれか、いらない情報はどれかと情報を整理し、他人が読んでも伝わるように順序良く説明し、簡潔な文章で書かなければいけません。
そのため、この要約を行うと記憶力も高まりますし、知識が増えて論理的思考能力や想像力も鍛えられます。
「いつやるの今でしょ!」で、おなじみの林修先生は、学校の授業を復習する際に教科書、専門書、授業中の先生の発言などをメモしたノートを使って、新しいノートに図やグラフなども書いた要約をしていたそうです。
また、もしあなたが成人なら、この要約することでワーキングメモリを鍛えるのがおすすめ。
なぜなら、成人はワーキングメモリを鍛えるトレーニングをしても効果が薄いですが、この要約する作業は成人でもトレーニング効果が高いことが科学的にわかっているからです。
そして、日本人は成人になって勉強する人は少ないらしく、新しいことを勉強しただけでも他人に差がつけられますし、副業として勉強したことをブログなどでまとめるのもいいでしょう。
本ブログを書いている個人的な実感ですが、文章能力が上がったのはさほど驚きませんが、他人との会話でも言葉がスムーズに出てくるようになりました。
なので、あまり他人と会話がうまくできないといったコミュ症の人にもいいトレーニング方法かもしれません。
日常でワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法
日常の中でワーキングメモリを鍛えるトレーニングを紹介します。
ちょっとだけ難しい本を読書する(音読が良い)
楽しみながら日常的にワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法は読書をすることです。
読書は登場人物やストーリーの展開など読み進んだ内容を覚えておくだけでなく、次の展開を予測したりすることがワーキングメモリのトレーニングになります。
また、単語や文章の意味を考えて解釈を統合したり、自分の知らない単語の意味を調べて記憶することもトレーニングになります。
ワーキングメモリを鍛える読書のポイントは、自分にとってちょっと難しい本を読むことで、出来れば音読することが望ましいです。
音読をすることで黙読のように言葉の読みや意味があやふやにならず、文章が明確化します。
(※ちなみにツイッターやメールなどの簡単で短い文章をいくら読んでも、ワーキングメモリに負荷がかからないためトレーニングの意味はありません。)
記憶を頼りに行動する
ワーキングメモリは記憶したことを処理する能力なので、日常的に道具を使わずに自分の記憶を頼りに行動するとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
例えば次のようなことはワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
簡単なレシピを覚えて料理する
家庭で料理をするとき、作り慣れていない料理だとレシピを見ながら料理をすると思います。
そこを最初にレシピを見て材料や調理の手順を覚えて、料理するときはレシピを見ないで料理をするとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
地図を見ずに目的地まで行く
地図を見ないで考えて目的地まで移動するとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
知らない場所に行くとき地図やカーナビ、スマホのナビを見て目的地まで移動しますが、そこをあえて目的地までの道順を覚えて地図を見ないで目的地まで移動してみましょう。
頭の中に地図を広げて住所や道順、目印を思い出しながら移動や、太陽の位置で方角を確かめるなど、いろいろ考えないと目的地にたどり着けません。
音楽でワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法
音楽でワーキングメモリを鍛えるトレーニングを紹介します。
ピアノなど楽器を弾く
音楽は脳機能の改善や維持に効果的で、認知症やうつ病などの改善のために「音楽療法」として使われるほどです。
そして、音楽を聞くだけでなく楽器を演奏すると脳機能をさらに改善してくれます。
なぜなら、楽器の演奏は楽譜を読み進めながら楽器を弾くため、ワーキングメモリに大きな負荷がかかるからで、ワーキングメモリを鍛えるトレーニングの効果があるからです。
実際に楽器を習う子供とそうでない子供とでは、楽器を習う子供の方が言語性テスト、非言語性テストで高得点を記録します。
また、楽器の中でもピアノを弾くことは現時点でワーキングメモリの神経システムを向上させる最良の方法で、有酸素運動以上のトレーニング効果があります。
ピアノを習い事にすると子供から大人までワーキングメモリがかなり向上すると科学的に実証されているため、何か習い事を始めたい人はピアノがオススメです。
【関連】子供の習い事はピアノがおすすめ!!東大生にピアノ経験者が多い理由
リズムを意識する
楽器を演奏しなくても音楽を聴いている時に、リズムを意識するだけでもワーキングメモリを鍛えるトレーニング効果があるようです。
日本の心理学者の齋藤智の発見によれば、一連のリズムパターンを記憶できる力とワーキングメモリの処理能力には関連性があるためだそうです。
そのため、ドラムなどリズムを刻む楽器を演奏したり、音楽を聴いているときやカラオケで歌うときに、ビートを意識して指でテーブルを叩いて同じリズムを刻むなどするとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
運動でワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法
運動でワーキングメモリを鍛えるトレーニングを紹介します。
オートバイを運転する
オートバイを運転するとき、周りに注意して危険予測をしながら素早い状況判断や決断を求められます。
また、オートバイは車の運転と違って、注意散漫になるだけで危険なので運転に集中しておかないといけませんし、体で車体のバランスを取らないといけないため、車の運転よりも頭を使います。
そのため、ワーキングメモリに相当な負荷をかけられるので、オートバイを運転するとワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
有酸素運動をする(特に武道や球技)
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動は、体の健康維持や機能改善に効果があることは知られており、ワーキングメモリなどの脳機能向上にも効果的です。
有酸素運動には色んな種類がありますが、ワーキングメモリを鍛えるトレーニングはウォーキングやランニングよりも球技や武闘系の有酸素運動が効果的です。
球技や武闘系の有酸素運動はすばやい動作をするだけでなく、ボールの軌道や相手の動きを予測して裏をかいたり、フェイントで相手を騙すため、ウォーキングやランニングよりもワーキングメモリを鍛えられます。
ゲームでワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法
ワーキングメモリの研究では、ゲームを使ったワーキングメモリを鍛えるトレーニングが研究されています。
ゲームの中にはワーキングメモリを向上せず、全く効果がないものもありますが、効果が認められるものには以下のような特徴があることが分かりました。
- 空間的な認知能力を訓練するゲーム
- 単語や文字を使い、頭の中で処理するゲーム
- 算数の問題を解くゲーム
- 注意力を強化するゲーム
では、以上のことをふまえてゲームでワーキングメモリを鍛える方法を紹介します。
コンピュータゲームやボードゲーム
コンピュータゲームは人間関係や仕事、感情の安定などに明らかな悪影響を及ぼしており、脳機能改善にも効果がないものが多いです。
実際に一般的な脳トレゲームはゲームの腕は上がりますが、ワーキングメモリを向上させる効果がないことが分かっています。
ワーキングメモリを鍛えるトレーニングに効果が見られたコンピュータゲームのジャンルは「シンプルなゲーム」と「戦略ゲーム」です。
ゲームのジャンルによるワーキングメモリ改善効果は以下の通りです。
- シンプルなゲーム:テトリスやマリオなどのゲームで、テトリスなどは頭の中で対象物を回転させる作業(心的回転)、マリオなどキャラクターをすばやく動かすゲームは反応時間が早くなる
- 戦略ゲーム:戦略的思考、計画立案、問題解決、集中力などを認知的能力を要するゲームで、RPG、アクションゲーム、FPS、オンラインゲームなどがこれらにあたり、注意力、反応時間、心的回転などが向上します。
パズルゲームの数独
パズルにはクロスワードパズルやロジックパズル、ワードサーチ、数独などがありますが、特に数独はワーキングメモリを鍛えるトレーニング効果があります。
数独が脳に及ぼす研究では、数独が得意な人は数独が苦手な人よりもワーキングメモリのスコアが50%も高いことが分かり、この結果は20代でも60代でも変わることがありませんでした。
ただし、脳が刺激し続けることが大事で一度だけでなく何度も継続して遊ぶことが大事なので、数独の本を買って一冊を終わるまで続けることをオススメします。
テーブルゲーム
テーブルゲームには将棋、チェス、囲碁、麻雀、オセロなどがありますが、ワーキングメモリを鍛える効果が高いのではないかと考えられます。
将棋のプロ棋士やチェス名人は、ゲームの定石(ゲームの局面でよく現れるパターン)を記憶しており、ワーキングメモリを活用しています。
実際にプロのチェス選手とアマチュアのチェス選手の脳の使い方を比較すると、アマチュアは予期せぬ動きやルールを分析する際に活用する側頭皮質を使っていました。
しかし、プロのチェス選手はワーキングメモリの所在地である前頭前皮質と頭頂皮質が活性化しています。
つまり、プロ棋士やチェスマスターのように、そのゲームの定石を覚えて、自分が有利になる定石へもっていくプレイスタイルをすると、ワーキングメモリを鍛えるトレーニングになると考えられます。
記憶ゲーム
記憶ゲームでワーキングメモリに負荷を与えると、ワーキングメモリを鍛えるトレーニングになります。
記憶ゲームには、発達障害を改善するため使われる「数字カード法」や「Nバック課題」があります。
数字カード法
子供の発達障害の改善にも使われるワーキングメモリを鍛えるトレーニング方法が数字カード法です。
数字カード法の手順は以下の通りです。
- 数字の1~9を紙に記入して数字カードを作る
- 数字カードを5枚選ぶ
- 適当な順番に数字カード一枚ずつ見せて順番を記憶させる
- 数字カードに関する質問をする
- 数字が100%正答するようになったらカードを増やす
- 子供が飽きないように楽しみながやる
数字カードに関する質問は以下のようなものがあります。
- 見せた数字カードから1枚を抜いて、どのカードを抜いたか当てる
- 数字カードを順番通りに並べさせる
- 数字カードを逆順に並べる
大人の場合は、数字カードを作らずに口頭で数字を記憶することでも大丈夫だと思います。
注意点:発達障害の子供に数字カード法を試すには年齢や症状によって変わるため、専門家の指導のもとにトレーニングする必要があります。【専門家の澤口俊之先生のサイト】
Nバック課題
Nバック課題とは、順番に出された情報を覚えていき、直前に言われた情報とN個前の情報が同じ場合に反応する課題です。(情報は単語、)
例えば、3バック課題の場合、適当に単語を順番に言っていき、直前に言われた単語と3個前の単語を比較して反応します。
言葉がアルファベットだとしたら、赤色のアルファベットの時に反応することになります。「A,B,C,D,E,C,F,E,G,F,E,H」
実際にNバック課題の手順は次の通りです。
- 2バック課題か3バック課題か何バック課題を決める
- 課題にそって順番に読み上げる単語リストを作る
- 単語リストを読み上げる
ミシガン大学ではNバック課題を数十人の小・中学生に1日15分間を受けさせて、一般的な知能テストを実施たところ、多くの子供に大幅に成績が向上しました。
また、Nバック課題を用いたワーキングメモリを鍛えるトレーニングの向上効果は3ヶ月持続しました。
最も重要なトレーニングは食事
ワーキングメモリを鍛える方法を紹介してきましたが、それだけでは不十分です。
身体を鍛えるために筋トレをしますが、筋肉の栄養が足りていなければ痩せてしまいますし、全身が疲れるだけです。
ワーキングメモリも同じで、脳に良い栄養が足りていなければワーキングメモリは上手く働きませんし、子供から大人まで脳の成長にも悪影響です。
そのため、ワーキングメモリに良い栄養素や食べ物を摂取することは、もっとも重要なトレーニングだと言えます。
ワーキングメモリに良い栄養素や食べ物については別の記事にまとめてあるので、下のリンクを参照してください。
【ワーキングメモリについてまとめ】勉強や仕事ができる人はココが違う!脳機能のワーキングメモリ(作業記憶)とは?
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コメント一覧
”例えば、0歳から英語のDVDを使っていたせいで、健康な子供が発達障害の自閉症スペクトラム障害(ASD)になる事例が多数あり、脳機能障害の原因を作っています。”
とありますが、詳しく教えてください。どのようにしてdvdが原因だったと特定しているのでしょうか。
コメントありがとうございます。
さっそく返答ですが、発達障害を改善している脳科学者の澤口俊之先生の著書によると、英才教育や早期英語教育のDVDの中には脳科学的な根拠がない教材があるという事が一つ。
脳科学的に根拠がない教材とは、脳には月齢・年齢で発達段階があるのですが、その脳の発達段階を考慮に入れてない教材のことで、子供の個性によって効果はある事もありますが、脳の発達に悪影響を及ぼしている事例もしばしば見られたそうです。
具体的には、脳が未発達の状態の3歳未満の子供は、スマホ、タブレットなどの機器を使うことは脳にとって過剰な刺激となり、早期英語教育のDVDも悪影響を及ぼす可能性があります。
0歳の子供においては、テレビを2時間以上見ても過剰な刺激となり脳の発達にマイナスになるレベルです。
そして、赤ちゃんはそもそもデジタル機器からの音声を認識できないそうなので、0歳児にはDVDを使った英語教育は意味がなく脳発達にとってはマイナスにしかならないと言えます。
何か不安あるようでしたら、澤口先生の「発達障害の改善と予防」を読んでみるか、公式のサイトで発達障害に関する教育相談を行っているようなので質問してみてください。
澤口先生の公式サイトURL http://toshi-sawaguchi.life.coocan.jp/