スピリチュアル・オカルト定番を読み解く!魂や臨死体験を脳科学で説明してみた

都市伝説,脳科学

科学技術が進歩した現代でも、スピリチュアルやオカルトを信じている人は多いです。

それは霊を目撃したり、幽体離脱したり、事故などで臨死体験で死後の世界を見たりと体験があるから。

でも、一部のスピリチュアル・オカルト的体験は、特殊な脳活動で説明できるです。

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霊魂や精神、意識は大きな脳活動で生まれる

スピリチュアル界隈で魂が綺麗な人を「魂レベルが高い」「波動が高い」「魂が磨かれている」と評したり、「魂に刻まれた運命・宿命がある」と占い師が言ったりします。

スピ界隈では、魂や精神、意識などは別々のものと捉えていますが、一般的な言葉の意味でまとめると「心の働き」のことです。

そして、脳科学的には、魂や精神、意識といった心の働きは、脳の大きな活動で生まれます。

1950年代のペンフィールドの実験では、脳の一部を電気刺激などで活動させると、その部分に対応した特別な意識が出てくることがわかっています。

さらに刺激の強さと意識の出現との関係を注意深く解析しました。

すると、刺激が弱くて脳活動が小さいと意識は出ず、意識が出るためには、ある程度以上大きな脳活動が必要で、あるレベル以上に活動(ニューロン数にして5万個程度の活動)して初めて、意識が出てくることがわかりました。

また、自由意志(意識)と脳活動の関係についてわかる、1980年初期にレビットの研究があります。

その実験では、「手を動かそう」という自由意志と脳活動との時間関係を調べており、もし脳と独立した何か(霊魂)が脳の活動を引き起こしているなら、「手を動かそう」という意志は、脳活動に先立つはずです。

しかし、実際は「手を動かそう」という意志は、手の動きに関する脳活動が大きくなった「後に」現れました。

つまり、脳とは別の霊魂や精神、意識、自由意志が原因で脳が動く(人の行動が決定する)のではなく、ある程度の大きな脳活動が原因で、魂や精神、意識、自由意志が生まれるのです。

臨死体験と脳活動

臨死体験とは、要するに「死」に臨んで生還した人の一部でみられる体験のことです。

当然、臨死体験での「死」には、脳死が伴っておらず、心臓の停止や意識の喪失がしばらく続いた後に回復してから、「記憶」に頼って語る体験です。

ギャラップ世論研究所の調査によれば、臨死体験は瀕死状態から回復した人の35〜40%で見られ、人口全体では5%はどになり、以外と多い体験です。

その臨死体験には次のような特徴があります。

  • 自分の体から抜け出した感覚を持つ。時に横たわった自分を見下ろす。(幽体離脱)
  • 自分の過去の経験が走馬灯のように意識に浮かぶ。
  • 暗いトンネルのような空間を飛翔する。
  • まばゆい光を見る。
  • 光に満ちた世界で、自分の家族や友人などと出会う。
  • こうした体験は、とても気持ちよく、安らぎに満ちている。

このような臨死体験は、実は「異常な脳活動の結果」として説明することができ、特にてんかんによる体験と臨死体験には多くの共通点があります。

(※てんかんとは発作を繰り返す脳の慢性疾患で、年齢、性別、人種の関係なく発病し、脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作を特徴とします。)

幽体離脱(自己像幻視)

自分の体から自分が抜け出して、自分を見るという幻覚(幽体離脱)は、自己像幻視(autoscopia)という病で、脳の損傷などが原因で起きます。

例えば、ある男性の症例では、真夜中にパジャマを着てベッドに入ろうとする自分自身の姿を見たり、食事をする時に椅子の後ろに立っている自分をまるで鏡に映っているようにハッキリと感じたりします。

こうした症状は、脳の特に頭頂葉や後頭葉に炎症や腫瘍、内出血があったりすると現れることがあります。

また、自己像幻視はてんかんでも起きます。

特に幻覚を伴うてんかんで現れることが比較的多く、そのようなてんかんの症例の7%ほどで自己像幻視がみられたという報告があります。

まばゆい光と走馬灯(幻覚)

臨死体験には心臓の停止や大出血が伴うことが多いが、こうした状態では脳は酸欠状態になり、ニューロンは異常な活動(バーストと呼ばれる異常発火)を示して、てんかんのような現象が起きます。

この異常が側頭葉で起きれば、てんかんでの体験されるものと同じような幻覚が出てきます。

それは臨死体験の走馬灯のような幻覚で、自分の過去の経験が次々に意識に上ることや、友人や知人が幻覚されるなどがあります。

また、第一視覚野などの低次な視覚野で異常発火が起きれば、「まぶしい光」を幻視することになります。

このように自己像幻視やまばゆい光、走馬灯のような臨死体験での幻覚は、こうした異常発火によって説明できます。

気持ちがよく幸福な気分になる

死に瀕した人が臨死体験を語る時、「苦痛から解放されて、感じたことの無いような開放感と幸せな気持ちになる」ということがあります。

これにも理由があります。

臨死体験はさまざまな瀕死状態で起きますが、共通しているのが大きなストレスがかかっていることです。

このストレスに対抗するために脳内ではいくつかの物質が分泌されます。

特に重要なのが、脳内麻薬で知られるエンドルフィンとドーパミンで、エンドルフィンがとても気持ちがよく幸福な気分にさせ、ドーパミンが快感を感じさせます。

この脳内物質によって、臨死体験が「とても気持ちよく安らぎに満ちている」という点は説明できます。

死後の世界

臨死体験における、幻覚や心地よい気持ちは脳活動によって説明できます。

死後の世界おいても、意識が回復した後に、記憶という脳活動に頼っています。

臨死体験を思い出して他人に伝えたり、自分で整理するときに言葉を使って再構成したりしますが、この際には育った文化の影響が入り込みますし、臨死体験での幻覚自体もその人の生まれ育った環境の影響を受けます。

それを証明しているのが、別々の国や文化圏での死後の世界に違いがある点です。

例えば、死後の世界を語るときの日本人の定番といえば「三途の川」ですが、欧米だと光に包まれた「キリスト」や「神」を見たという体験が多く語られます。

もし死後の世界が実在するものなら、人間が作った国や文化圏によって異なるのはおかしいのです。

参考文献

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都市伝説,脳科学

Posted by curious