ロジカルシンキングの論理展開パターンの演繹法(三段論法)とは?

2017-09-23ロジカルシンキング

プレゼンのような順序立てて説明することが苦手な人の中には、仕事場などで「筋道を立てて説明しなさい」と言われても上手く説明することができずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

そんな説明下手な人は、ロジカルシンキングの論理展開パターンの演繹法(三段論法)や帰納法、アブダクションを学んで活用すると、相手に伝わる上手な説明ができます。

今回はロジカルシンキングの論理展開パターンの一つである演繹法(三段論法)を紹介します。

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ロジカルシンキングの演繹法(三段論法)とは?

ギリシャ哲学での三代哲人の一人であるアリストテレスが明らかにした、ロジカルシンキングの基本である論理展開には3パターンあります。

それは「演繹法」「帰納法」「アブダクション」で、筋道を立てて段階的に論を進めていき合理的な結論や主張を導くために用いられます。

この中の演繹法とは、「正しい前提条件から推論して結論を導く論理展開の方法」で、前提条件を認めるなら、結論は必然的・絶対的に正しくなります。

具体的には「AならばBである」と言うように、「前提のAが正しいならBも正しい」と言うことになり、数理論理学では記号で「A⇒B」と書きます。

例えば、前提Aが「雨が降る」ならば、結論Bはどうなるかと考えて、「水溜りができる」「川が増水する」「服が濡れる」などの結論を出せます。

しかし、これでは考える必要がないので一般的に演繹法を活用する場合は「二つの前提から結論を導きだす三段論法」が代表的で、アリストテレスの「ソクラテスは死ぬ」という命題で演繹法を説明する例は有名です。

  • 大前提:人間は必ず死ぬ。(ルール・一般論)
  • 小前提:ソクラテスは人間である。(情報・事象)
  • 結論 :ソクラテスは死ぬ。

演繹法の仕組みと考える手順

演繹法の仕組みは、小前提と大前提の2つの情報を組み合わせて結論を導き出すので、演繹法を活用するときは次の3つの要素を考えます。

  1. 大前提:一般論、学問で導き出された法則、ルール、価値観や文化
  2. 小前提:新情報、事象(出来事)、問題の原因、
  3. 結論:大前提と小前提を関連させて分かる発見

次に演繹法を考える手順は次の通りです。

  1. 小前提に疑問を持つ:なぜ、こんなことが起きたのか疑問を持つ。
  2. 大前提を考える。
  3. 結論を導き出す。
  4. 結論から考えて、論理破綻してないか確かめる。

手順1の「小前提に疑問を持つ」は、そもそも疑問を持ったり、解決するべき問題がなければ演繹法を使って考えることはないので、まず事象を意識することが大事です。

手順2の「大前提を考える」では、小前提に関係してそうな一般論や法則などを探します。

例えば、人間関係なら心理学や脳科学の法則などを使ったり、大前提となるものがなければロジカルシンキングの基本である「帰納法」で新しい法則を見つけて見ましょう。

手順3の「結論を導き出す」では、大前提と小前提を組み合わせて結論を出します。

手順4の「結論から考えて、論理破綻してないか確かめる」では、導き出した結論が正しいか考えます。

例えば、ジャンケンを演繹法(三段論法)で説明すると結論に大きな謝りがあることに気づきます。

  1. グーよりパーが強い:○(グー<パー)
  2. パーよりチョキが強い:○(パー<チョキ)
  3. グーよりチョキが強い?:×(間違った結論:グー<パー<チョキ)

ジャンケンなら結論の間違いを簡単に見つけられますが、複雑な演繹法だと結論が間違っていることに気づかないことがあるため注意が必要です。

結論を確かめるときは、結論の後に「なぜなら〜だから」をつけて筋道が通っているか考えます。

例えば、「既婚男性が不倫をしているのでは?」と疑っていることを説明するときは次の通りです。

  1. 大前提:男性は浮気性だ。(一般論)
  2. 小前提:既婚男性が若い女性と仲良く歩いている。(事象)
  3. 結論:既婚男性は浮気をしている。

結論を「なぜなら〜だから」をつけて考えて説明に無理があったり矛盾していた場合は、演繹法が間違っていることになります。

「既婚男性は浮気をしている。なぜなら男性は浮気性で若い女性と仲良く歩いていたから」

演繹法で間違いやすいポイント

演繹法で間違いやすい点は、大前提と小前提を間違って正しい結論を導き出せないことです。

例えば、先ほどの「既婚男性が浮気をしている」と結論を出しましたが、大前提の「男性は浮気性だ」という一般論に当てはまらない男性もいるため、必ず既婚男性が浮気をしているとはなりません。

また、小前提の「既婚男性が若い女性と仲良く歩いている」という出来事も、仕事の同僚の女性だったり、男性が気さくな人で女性が話しやすいと感じている場合もあり、単なる思い込みの可能性があります。

【関連】ロジカルシンキングの演繹法と帰納法で間違いやすい6つのポイント

演繹法の活用例

では、演繹法の仕組みや考える手順を説明したので、「日本の待機児童問題」を例に演繹法を実際に活用してみます。

日本では待機児童が多いことが問題視されていますが、待機児童は問題は地域に幼稚園・保育園が少ないことが理由にあると考えます。

そして、実際に生まれる幼児に対して受け入れる幼稚園・保育園が少ないというデータがあるならそれが大前提(一般論・ルール)です。

  • 小前提:日本では待機児童問題が深刻だ。
  • 大前提:幼稚園・保育園が足りていない。
  • 結論:幼稚園・保育園を作れば、待機児童問題は解決する。

次に「なぜ幼稚園・保育園が足りない理由」を考えて次の2つの原因が一般的です。

  1. 騒音が理由で地域住民の反対がある。
  2. 保育士の人数が足りない。

リスト1の「騒音が理由で地域住民の反対がある」ときは、騒音対策を徹底することで解決します。

リスト2の「保育士の人数が足りない」ときは、前の結論を前提にして演繹法による論理展開を進めます。

  • 大前提:待機児童問題は幼稚園・保育園が足りないことが原因だ。
  • 小前提:幼稚園・保育園が足りないのは、保育士が少ないことが原因だ。
  • 結論:保育士を増やせば待機児童問題は解決する。

次に「保育士の人数が足りない」ときは、さらに次の3つの原因が一般的な意見です。

  1. 離職率が高い。(激務、給料が少ない、寿退社)
  2. 就職希望者が少ない。(魅力を感じない)
  3. 資格取得の敷居が高い。(資格取得に費用と時間がかかる)

このように演繹法を使って論理展開を進めることで、最終的な結論を導くことができます。

演繹法をビジネスシーンで活用して説得力を持たせよう!

仕事は一人でするものではなく複数の仲間と協力して成果を出す必要があるため、プレゼンや交渉などで相手に伝わる説明をしないと協力関係を築いたり、成果を出すことは難しいです。

そんな場面で必要になるのが、ロジカルシンキングの論理展開パターンの一つである演繹法(三段論法)や帰納法、アブダクションです。

特に演繹法はルールや法則、一般論を使って正しい結論を導くため、話に説得力を持たせるだけでなく、問題解決や戦略を立てる場合に活用できるので、演繹的な思考を普段から心がけましょう。

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