身体の成長と健康維持に必要な「成長ホルモン」とは
成長ホルモンは、子供の身長を伸ばしたり、体の代謝を高めてメンテナンスを行うなどの働きがあります。
なので、成長ホルモンは子供の身体の成長・発達や、体の内側から美容と健康を支えてくれる大切なホルモンです。
成長ホルモンとは
成長ホルモン(GH:growth hormone)とは、多くのホルモンの分泌を行っている脳下垂体前葉の細胞から分泌されるホルモンで、人の成長ホルモンを特にヒト成長ホルモン(hGH:human GH)と呼びます。
191個のアミノ酸から出来ており、身体の成長・発達と体をメンテナンスして健康を維持するために必要なホルモンです。
成長ホルモンは直接作用する場合と、成長ホルモンが肝臓に働きかけて分泌されるIGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)を介して間接的に作用しています。
特に子供の身長を伸ばしたり、筋肉の発達などの成長に関する作用は、主にIGF-1を介して、いろんな器官の細胞分裂を促す働きがあります。
成長ホルモンの年齢ごとの分泌量の変化
子供と大人では成長ホルモンの分泌量が変化します。
思春期前を基準値100とすると、思春期後期は基準値の2倍、30〜40代だと基準値の半分となり、60代以降は基準値の30%以下となります。
成長ホルモンには成長と代謝をコントロールする作用があるのですが、大人になるにつれて重視する効果が変わります。
子供では体の成長のためにホルモンが多く分泌されるため、骨や筋肉、各器官を発達させる成長ホルモンの作用が重視されます。
大人では体の成長が止まりますが体のメンテナンスは必要なので、代謝をコントロールする成長ホルモンの作用が重要です。
成長ホルモンの睡眠時間での分泌量の変化
「寝る子は育つ」ということわざがあるように、よく寝る子供は体の成長が速いですが、これは成長ホルモンは覚醒している時よりも睡眠時に多く分泌しています。
次の画像は睡眠時の成長ホルモン分泌量をグラフで表したものですが、眠りはじめて30分〜3時間ぐらいがもっとも成長ホルモンの分泌量が多いことがわかります。
このように睡眠で成長ホルモンの分泌量が増えるので、仕事の疲労が取れない人や肌荒れなど健康と美容に不安がある人は、良質な睡眠を心がけましょう。
成長ホルモンに関する病気
成長ホルモンの分泌量に異常があると、体の成長に障害が起こります。
成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)
「成長ホルモン分泌不全低身長症」とは、成長ホルモンが正常に分泌なされないため、身長の伸びが少なく低身長を引き起こすも病気です。
1万人あたり男児だと2.14人、女児だと0.71人の頻度でみられるそうで、治療を行わないと大人になっても低身長のままとなってしまいます。
先端巨大症(巨人症)
「先端巨大症」とは、成長ホルモンが過剰に分泌されることで、身体が異常な成長をしてしまう病気で、別名は「末端肥大症」「アクロメガリー」「巨人症」と言われます。
先端巨大症の原因は、脳の下垂体前葉の成長ホルモン分泌線細胞が、機能を溜まったまま腫瘍化することで、成長ホルモンが過剰に生産されてしまうことが原因で起きます。
100万人あたりに40〜60人程度の頻度でみられ、症状としては「下アゴがせり出す」「手足の異常な発達」「骨がもろくなる」などがあります。
身体の過剰な成長のため、膝や背骨を痛めやすく、重度だと両手で杖をつかないと歩けなかったり、内臓は大きくならないため、内臓の働きに問題が起きている患者も多い。
そのため、治療せずに放置すると死亡する確率が2倍以上となり、寿命も10前後短くなると言われています。
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