幼児教育・英才教育の基本!脳発達の臨界期とは

2022-03-14幼児の脳育成,脳科学

幼児教育では、0〜8歳ぐらいの幼少期の脳は柔軟に変化しやすいため、「色んなことを吸収しやすい時期」として知られています。

当然、親なら子供の将来を考えて、子供にどんな教育をするべきか悩みます。

そんな人は幼児教育・英才教育の基本である子供の脳機能の「臨界期」について学んで見るのもいいかもしれません。

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進化的に予想している環境(EEE)

子供の教育でよく語られるのが、子供の能力の高さは遺伝要因と環境要因があり、どちらも大事だということです。

そして、ベストなのが進化的に予想している環境(EEE=evolutionarily expected environments)に近づけて子育てするということです。

ダーウィンによると、動物は環境の変化に適応するように身体や脳構造を進化させてきました。

これを言い換えると、その動物が進化によって適応できた環境が、遺伝子レベルで最適な環境であるということです。

つまり、進化的に予想している環境を意識した幼児教育が、最も身体や脳の発達に貢献するのです。

この理論が正しいことがわかるダイアモンド(M.C.Diamond)による実験用ネズミを使った実験があります。

この実験では、遺伝的に同じラットを使って遺伝要因を排除して環境要因の影響だけを調べるようにして、次のような3つの環境を用意してラットを育てます。

  • 貧しい環境:狭いケージに1匹
  • 標準の環境:普通のケージで2〜3匹
  • 豊かな環境:広いケージで10匹ほどで、人工的なトンネル、輪回しを設置

いうまでもなく、遺伝子が同じだとしても豊かな環境で育ったラットが最も発達が良いという結果でした。

これは野生のラットはトンネルを掘って行き来し、比較的広い場所で走り回るのですが、豊かな環境が「進化的な環境(本来の環境)に近い」からです。

実際に大人になったラットの脳の大きさを調べると、豊かな環境で育ったラットの脳は、標準の環境で育ったラットの脳と比べて平均で5%ほど重くなりました。

この5%の差は、ヒトの進化では短くても50万年間はかかり、豊かな環境で育ったラットは知能も高いことがわかりました。

一方で、貧しい環境で育ったラットは、標準環境で育ったラットと比べて平均で2%ほど軽くなり、知能も低いという結果。

この実験用ネズミのように、ヒトでも同じような進化的に予想している環境(EEE)があります。

そのため、身体や脳の発達にはEEEを意識した子育てや幼児教育は重要なのです。

臨界期とは

臨界期(critical period)とは、「進化的に予想している環境(EEE)において学習するべき事柄」を学習する際に決定的に重要な期間のことです。

その臨界期は幼少期にあり、臨界期を過ぎると、その何かを学習することは不可能になるか、非常に困難になります。

前述したラットの実験では、異なった環境で育てると脳の重さや知能も異なりました。

この違いは異なった環境の影響ですが、ラットでは生後2ヶ月間ほどの期間を過ぎると環境の効果はほとんどなくなるため、この臨界期にEEEではない環境で育つと脳の発達に悪影響がでます。

ただ臨界期を過ぎても脳の可塑性は維持されている(脳が柔軟に変化しやすい)ため、貧しい環境から豊かな環境に移せば、神経回路はそれなりに発達しそうですが、そうはなりません。

つまり、臨海期の間を貧しい環境で育てたラットは臨界期を過ぎてから豊かな環境に移しても、環境の効果はなく、ほとんど神経回路は発達しないのです。

そして、この臨界期での環境が神経回路の発達そのものが生涯にわたって影響を及ぼします。

幼児脳の臨界期

実験用ラットと同じように人間にも脳機能の発達の臨界期はあります。

当然、ラットと人間の脳機能には違いがあるため、人間には人間とくいうの「進化的に予想している環境(EEE)」と「臨界期」があると考えられます。

まだ未発見の脳機能の臨界期はあると思いますが、基本的な脳機能の臨界期には次のものがあるようです。

  • 両眼視の能力:生後4、5歳頃まで
  • 音声言語の能力:生後半年頃〜7、8歳頃まで
  • 情動のコントロール力:生後1歳頃〜4、5歳頃まで
  • 仲間との社会関係力:生後3歳頃〜7、8歳頃まで
  • 算数の基本的能力:1歳半頃〜7、8歳頃まで
  • 音楽(絶対音感):8歳頃まで

このリストでもわかるように、基本的な脳機能の臨界期は8歳頃までのものが多いため、8歳頃までに各脳機能を伸ばす適切な環境下(EEE)で子育てすることが必要になります。

ちなみに「学習容易期」と「臨界期」は混同されることがあるようです。

簡単に言語能力を例に説明すると、臨界期で第1言語を習得すれば、第2言語はその後の学習容易期なら比較的容易に身につきます。(言語の学習容易期は17歳頃まで)

脳機能には進化的基盤が強く遺伝的な脳機能とそうではない脳機能があり、言語能力では音声言語と文字言語がそれに当たります。

音声言語は進化的・遺伝的な脳機能であるので、進化的に予想している環境(EEE)と臨界期があると言うことです。

また、もし臨界期を過ぎた場合はどうなるのか知りたい人は、次のリンクの記事を読んでみてください。

【臨界期を過ぎた子供の詳細について】普通環境で育たないとヤバイ!臨界期を過ぎた子供への悪影響

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