協調的な人と自己中心的な人の違い!調和性の個人差が生まれる原因【性格心理学】

2017-05-15性格心理学

パーソナリティ5因子モデル「ビックファイブ」の調和性とは、他者の心の状態に注意を払う傾向が強いかそうでないかを現す性格特性です。

調和性が強い人は、相手の気持ちを考慮した思いやりのある言動を心がける傾向にあり、他人に貢献することに価値をおく協調的な人です。

逆に調和性が弱い人は、他人に冷たく貢献しない傾向にあり、自分の利益を優先するように行動する自己中心的な人です。

このように協調的な人と自己中心的な人の個人差を決める調和性が生まれる原因はどんなことなのか紹介していきます。

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人間は自分に不利益がない限り協調する

心理学の実験で想像してほしいのですが、あなたは狭い小部屋に通され正面には隣の部屋の様子を見れるガラスがあります。

隣の部屋にはあなたの知っている人がおり、あなたも知人もお腹を空かせています。

ガラスの前にはレバーが2つあり、レバーを引くと食べ物が運ばれて来るのですが、レバーによって次の違いがあります。

  1. 自分だけに食べ物が運ばれてくるレバー(1番目のレバー)
  2. 自分と隣の部屋にいる知人にも食べ物が運ばれるレバー(2番目のレバー)

どちらのレバーを引いてもあなたには不利益がない状況で、あなたはどちらのレバーを引くでしょうか?

普通なら自分と相手にとって共通の利益を選択するので、2番目のレバーを引きます。

しかし、人間に近いチンパンジーに同じような実験をすると2つのレバーをランダムに引く行動とり、他のチンパンジーに対する関心がなく自分の利益だけを考えて行動を選択します。(※親兄弟も関係ない)

つまり、人間には「他者配慮選好」があり、他人の心に配慮する共感とメンタライジングの2つの能力がチンパンジーよりも発達した為だと考えられます。

調和性の個人差を決める共感とメンタライジング

他人に思いやりがある接し方をすることができるようになるためには、2つの能力が欠かせません。

それは、他人に共感することと他人の心の状態を推測するメンタライジングという能力です。

調和性が強い協調的な人はこの2つの能力が高く、他人と対面している時に自然に働くため良好な人間関係を築けるのです。

他人の心の状態を読む「メンタライジング」

メンタライジングとは他人の心の状態を推測し心をうまく読み取る能力のことです。

メンタライジングの能力が欠けていると、場の空気を読まずに、自己中心的な行動をしがちで、人の気持ちを考えないため良好な人間関係を築くことができません。

メンタライジングについて、2つの指人形を使った古典的な実験があります。

舞台にはサリーとアンの2人がいます。サリーはカゴを持っており、おはじきをカゴに入れて舞台を去ります。

サリーがいない間に、アンがおはじきをカゴから箱の中に移し替えます。そのあと、サリーが戻ってきました。

ここで指人形の実験を見ていた子供たちに質問がされます。

「サリーはおはじきを見つけようとしています。どこを探しますか?」

この実験を3歳児と4歳児に行うと違う回答が返ってきます。

3歳までの子供の場合は「サリーは箱の中を見るよ」と答えます。「どうして?」と聞くと「だってアンがおはじきを箱の中に入れたんだもの」という理由でした。

3歳の子供は、自分の知識とサリーの心の状態を区別することができず、メンタライジング能力がないことが分かります。

対して4歳以上の子供の場合は「サリーがカゴの中を見るよ」と答え、メンタライジング能力が発達したため、相手の心を推測することができるようになります。

つまり、メンタライジングは年齢によって発達させることができるため、子育てや訓練によって能力を伸ばせることができます。

他人の感情を感じ取る「共感」

共感もメンタライジングと同じで、他人の心の状態を読む能力なのですが、共感の対象となるのは他人の感情です。

共感しているときに脳画像を調べると、メンタライジングと同じような脳領域を使用しているのですが、それに加えて実際に他人と同じ感情を抱いているそうです。

人が他人の感情を読み取る時、表情や声色、しぐさや癖などの非言語コミュニケーションを見ることで他人と共感しています。

そして、男性ホルモンのテストステロンが共感力と関係しており、実験で女性にテストステロンを与えると共感的な行動が減ることが確認されています。

他にも愛情や絆、信頼ホルモンとも言われるオキシトシンは共感力と関係しており、他人との触れ合いによってオキシトシンの分泌を促進すると共感力が高まります。

【オキシトシンまとめ】愛情・絆・信頼・思いやりに関する幸せホルモン「オキシトシン」とは?

男女で調和性の能力に違いがある

男性と女性では調和性に差があり、男性よりも女性の方が調和性が強くなります。

具体的に調和性をテストで測定すると、男性の平均スコアは女性全体の7割よりも低いスコアになるそうです。

この違いがでるのは男女の役割分担や生き残る戦略が関係しており、男性は仕事に成功してステータスを持つことが子孫を多く残すことに繋がるのに対して、女性は子供を産み育てることで子孫を残します。

男性は仕事で成功するためは他人と競争しないといけないため、他人への情よりも自分の利益を優先した方が仕事で成功する為、調和性が弱く自己中心的になります。

そのため、凶悪犯罪を犯すサイコパスのような人間や自閉症スペクトラム障害(ASD)の自閉症やアスペルガー症候群になりやすいのは男性です。

一方で女性は子供が社会で成功するために立派に育てること大事で、良い人間関係のネットワークを築いて、維持することが子供と自分を守るために役立つので調和性が強く協調的になります。

これは「男性脳」「女性脳」と言われるように脳の使い方にも違いがありますし、幸せホルモンのオキシトシンが女性の方が影響しやすいことにも関係しています。

協調的な人と自己中心的な人の特徴を知ろう!!

協調的な人と自己中心的な人の個人差を決める調和性が生まれる原因について紹介してきました。

調和性の個人差は共感やメンタライジングの能力の差によって決まり、男性脳と女性脳、オキシトシンの影響などが根本的な原因のようです。

次回は協調的な人と自己中心的な人のそれぞれの性格の思考や行動の傾向や特徴を紹介していきます。

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Posted by curious