解雇はダメ絶対!リストラとレイオフが企業におよぼす悪影響

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景気が後退すると企業は、人員削減によってコスト削減をしようとします。

リストラやレイオフで失業した人にとっては、さまざまな面で悪影響を与えることは分かるでしょう。

一方、コスト削減できた企業にとってはプラスしかないと考えるかもしれませんが、実際は逆効果であることは知られていません。

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リストラとレイオフは株価に悪影響

リストラやレイオフ(一時解雇)の発表は、株価および株主総利回りに対して、よくても中立で、多くはマイナスの影響を与えます。

1979〜97年に発表されたレイオフ141件を調べた研究では、発表した企業の株主総利回りが軒並み下がり、人員削減規模が大きいほど、また解雇の期間が長いほど、マイナス幅が大きくなっていました。

また、リストラが株主総利回りに与える影響を調べた12の研究論文のメタ分析は、株価の下がった12件のうち9件が、リストラの発表で株価に悪影響を与えたという結果でした。

このようなリストラやレイオフが株価を下げる悪影響は、ある意味当然です。

その発表によって企業の経営がうまくいっていないことを認めているようなものだからです。

ただレイオフの理由によっては影響に違いがあり、需要減が理由にあげた企業は株価が下がり、効率を理由にあげた企業は株価に悪影響がなかったことがわかりました。

リストラは収益に悪影響

リストラは企業の収益にも悪影響を及ぼすことがわかっています。

1982〜2000年におけるアメリカ民間の有力格付け機関スタンダード&プアーズ(S&P)500構成企業の収益性を調査した研究によると、リストラした企業の収益率は、そうでない企業よりも下がっていることがわかりました。

122社の収益性を調べた別の研究でも、リストラ前の収益性に関して統計処理を行った後でも、リストラ後の収益率は大幅に下がっていました。

そして、特に低下が顕著なのが研究開発に力を入れていた企業です。

アメリカ経営者協会でも人員削減の効果を調べると、企業も経営陣も自分の判断ミスを認めたがらない人がいる中でも、人員削減で営業利益が増加したと回答したのは、全体の約半分だけでした。

リストラとレイオフは生産性に悪影響

リストラやレイオフ(一時解雇)は生産性に悪影響を与えることもわかっています。

工業統計調査のデータを使って1977〜87年の生産性の変化を調べると、リストラした企業より雇用を増やした企業の方が生産性の上昇幅が大きいことがわかりました。

ペンシルベニア大学ウォートン・スクールのピーター・キャペリ教授は、リストラによって従業員一人あたりの労働コストは改善されるが、従業員一人当たりの売上高は下がり、企業全体の収益率も下がると指摘。

なぜ、コストが改善したのに収益率は下がるのか?

それはリストラを発表すると「最も有能な従業員から出て行き、無能な従業員が残る」からです。

また、企業は必要以上に人員をリストラする傾向にあります。

これにより残された人員だけでは仕事が回らず、解雇者を再雇用することになり、無駄な退職金を払い、仲介業者にも手数料を払うはめになっています。

アメリカ経営者協会の調査では、リストラやレイオフを実施した企業の3分の1が、解雇した従業員を契約社員として再雇用していました。

リストラとレイオフはイノベーションに悪影響

リストラやレイオフ(一時解雇)は、企業のイノベーション創出に悪影響を与えます。

多くの調査では、リストラやレイオフを実施した企業ではイノベーションを生み出すスピードが鈍化すると報告されています。

ポルトガルでリストラを行った従業員200名以上の企業を調査すると、イノベーション創出活動が不活性になったと報告。

大手企業に大規模なリストラの前・中・後の創造的活動についての調査では、リストラ中はイノベーションを即す職場要因が低下して創造性が発揮されなくなったが、削減の完了後にはいくらか持ち直すという結果でした。

では、なぜイノベーションに悪影響があるのかというと2つの理由があります。

1つは、リストラを発表で従業員は失敗すると解雇されることを恐て、リスクをとってイノベーションに取り組もうとしなくなること。

もう1つは、リストラによって社内ネットワークが壊れるからです。

イノベーションは一人の力ではなく、みんなでアイデアを出し、設計、製造、営業など他部門の人間も一緒に働くので、社内のネットワークが壊れると短期間で効率よくイノベーションを生み出すことが困難になるからです。

リストラとレイオフは企業経営にプラスにならない

これまでの研究結果でも分かる通り、リストラとレイオフ(一時解雇)は企業経営にはプラスになりません。

リストラやレイオフは繁栄には繋がらず、コスト削減しても顧客のニーズに的確に応えられなくなり、イノベーションや生産性は低下します。

そして、リストラに着手すると、転職先が見つかる優秀な社員はさっさといなくなり、残った社員は心配で仕事に手がつかない。

リストラが企業経営にプラスにならないことは明白です。

なのに「なぜ経営者はリストラをやるのか」、その答えの一つが人員削減と経営幹部の報酬の関係にあります。

ある調査では、前年にリストラを発表した企業ではCEOの報酬が増え、同年にリストラをしなかった企業の役員報酬上昇幅を上回ることが判明してます。

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Posted by curious