すべての分野に有効!学習の基本原則「インターリーブ」とは
学習やスポーツ、音楽、何かしらあなたが上達したいことを学んだり、練習したりするとき、どんな方法が効果的か知っていますか?
それは学習の研究でわかった「インターリーブ」という学習の基本原則です。
もしテストの点数を上げたい、スポーツや音楽など早く上達したいのならインターリーブを活用しましょう。
学習の基本原則「インターリーブ」
学習の基本原則であるインターリーブとは、学習中に関連性はあるが違う何かを混ぜるという意味です。
インターリーブの特徴は、複数の項目、スキル、理念を混ぜた練習や勉強をある程度の期間行うと、個々の項目、スキル、理念の違いがわかるようになるだけでなく、個々の特徴をより鮮明につかめるようになります。
そして、この学習テクニックは、ほぼどんな学習でも活用でき、脳により深く刻み込むことを可能にしてくれます。
例えば、音楽教師のあいだでは昔からインターリーブが好まれており、1コマの授業のなかで、スケール練習、音楽理論の勉強、曲の練習を代わる代わる行うといったことがあるようです。
あなたも勉強や運動、音楽、研究、趣味など、何かしら上達したいことがあるでしょう。
そんな時にインターリーブを活用して学習や練習することで、知識や技術の上達のスピードが早くなります。
学習にインターリーブを活用する
数学は苦手な授業の代表格ですが、この数学の勉強でインターリーブを活用すると、数学の理解を全面的に深めることが実験で実証されています。
アメリカの全米数学教師協議会によると「毎週の小テストはよくできるのに、同じ内容の総合テストはひどい点数が多い」という問題がありました。
この原因は小テストでは「その週に学んだ内容」や「連立方程式を使うといった解法が指定される」ため成績がよくなります。
しかし、さまざまな種類の問題を網羅した総合テストになると、問題を解くのに使う解法を自分で選ばなければいけないので難易度高くなって点数が悪くなります。
そこで数学の授業や宿題でインターリーブを活用すれば、以前の学習法よりもテストの点数は高くなります。
インターリーブの活用を具体的に説明すると、連立方程式を2週間、グラフを2週間というように項目ごとに1つのまとまりで勉強するのではなく、過去に学習したことも混ぜる授業や宿題、自主学習で勉強するだけです。
インターリーブは推理力や判別力を鍛える
1980年代後半にカリフォルニア州パロアルトで高校の数学教師をしていたダグ・ローラーをはじめとする研究者たちは、インターリーブが数学の理解を全面的に深めることを実験を通して実証してます。
その一つの実験は、2007年のサウスフロリダ大学のローラーとケリー・テイラーは、24人の小学4年生を対象に実験を行いました。
この実験では、小学4年生で習う図形の底面の角の数に応じて角柱の面、辺、角、角度の数を算出する方法を授業で教えて、誰でも完璧にわかるようにしました。
そして、24人のうち半分には、一つの項目をまとめて勉強する「ブロック学習」を次のような手順で勉強させました。
「面の数」を求める問題を8問、その後30秒休憩、「辺の数」を求める問題を8問、その後30秒休憩、「角の数」を求める問題を8問、その後30秒休憩、「角度の数」を求める問題を8問というもの。
残りの半分は解く問題の数と内容、休憩時間は同じですが、問題の種類をランダムに混ぜて勉強させます。(インターリーブを適用)
つまり、勉強の違いは同じ種類の問題を続けて解くか、ランダムに解くかの違いだけにします。
翌日、子供たちに4種類すべてを1問ずつ出題するテストを実施しました。
そのテストの結果、問題をランダムに解いたグループの方がテストの成績はよく、しかもこのグループは77%正解したのに対して、ブロック学習をしたグループは38%の正解率でした。
つまり、インターリーブで学習するだけで、約2倍もテストの点数に差が生じたことになります。
なぜ、このような差が生まれたのでしょうか?
それは問題の種類を混ぜて勉強すると、問題の種類を特定すると同時に、それに適した解法を見つけないといけなくなります。
この「問題に適した解法が何か」と考える手間が、推測力や判別力を訓練して予期せぬアクシデントでの対応力も磨いてくれるのです。
すべての分野でインターリーブは有効
これまでの実証を見ると、インターリーブは数学以外のほぼすべての科目やスキルに効果があると言えます。
なぜなら何を勉強するにも、必要な時点で必ず復習する必要があるからです。
例えば、テストの時期なら膨大な専門用語、名称、出来事、概念、公式の意味や違いを覚えておかないといけません。
ピアノやバイオリンなどの演奏やスポーツでも、学んだ技術は必要となります。
なので何かしら学習や練習するときは、次のようにインターリーブを活用してみましょう。
何かしら勉強や訓練を2時間ぐらい行う場合は、30分ごとに区切ったり、もっと細かく10分、15分刻みで違うことを混ぜましょう。
例えば、数学なら最初の30分は計算問題、次の30分は図形問題、次の30分は証明問題、最後の30分は関数といった感じです。
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