脳科学的には精神障害、発達障害、反社会性人格障害、いじめ、ニートは同じ原因!?全てHQ障害症候群

脳科学,IQ(知能指数),犯罪心理学,発達障害,人間関係

HQとは人間性知能と言われ、人間関係や社会に関わる知能のことです。

このHQの変化は、遺伝の影響もありますが、子育てや教育などの環境の影響で、向上したり、低下したりします。

そして、HQがかなり低いとHQ障害症候群となり、精神障害や発達障害、反社会性パーソナリティ障害、いじめ、ニートといった、さまざまな問題が生じやすくなるので注意が必要です。

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精神障害(うつ病、統合失調症)

精神障害で代表的なのは統合失調症とうつ病で、2大精神障害と呼ばれていますが、その他の主要な精神障害も脳科学的にはHQ障害症候群と考えられます。

これは人類での「脳疾患」では、前頭前野が主な原因となりやすく、前頭前野が持つ知能がHQだからです。

統合失調症では、HQのセンターである前頭前野の萎縮による機能低下や微細構造の異常が見られます。

うつ病でも前頭前野の機能的・構造的異常が伴っており、HQの根幹であるワーキングメモリや多様な認知機能、情動制御を含めた自己制御力も低下し、重篤だと自殺に至ることもあります。

また、二大精神障害以外の各種人格障害や強迫神経症、自閉症でも前頭前野の機能低下や構造的な異常が認められています。

ただし、統合失調症やうつ病以外では、HQの諸機能の多くによる障害ではなく、HQの少数機能がさまざまな程度で障害されていることがほとんどです。

発達障害(ADHD、LD)

子育てや教育で問題になることがあるのが発達障害ADHDや学習障害LDです。

ADHDもLDも精神科では症状によって分類されていますが、脳科学的には「ある脳機能が、どの程度で低下しているのか」の違いです。

ADHDは、日本の全自動の4〜5%ほどという統計もあり、特に欧米では成人のADHDも社会的リスクに結ぶつく障害として注目されています。

そのADHDの児童をHQ検査すると、どの脳機能が低下しているかで症状がさまざま。

例えば、ワーキングメモリも自己制御能力も通常範囲内だが「注意力の変動が激しい」という症状の児童や、注意力ではなく自己制御力が顕著に低下している症状の児童もいます。

LDの読み書き算数などの学習困難の児童では、ワーキングメモリや一般知能g、自己制御力が低下してという事例も。

心理学と違って、脳科学では低下している脳機能を特定することで改善法・治療法がわかります。

その改善法に基づいた、子育てや教育、脳機能を高めるリハビリをすることで、発達障害の症状も改善へ向けることができます。

キレやすい人、抑うつ症状を持つ人

HQの中心的な働きは、脳をうまく操作して状況に応じた適切な行動を行うものです。

なので、HQがADHDまでは行かないにしても低下して、若干のHQ障害症候群の人は、怒りや攻撃性を制御できない「キレやすい人」になったり、元気がなく気分の落ち込みが激しい「抑うつ症状を持つ人」になります。

また、近年ではキレやすい子供が増加傾向にあるとか。

情動抑制の能力に関係する「GO/NOGO課題」を小学生に、信州大学が同じテストを1979年と1998年に実施しました。

すると、小学生低学年では感情的に興奮しやすく、自分の行動を抑えることのできない子供が、前回テストと比べて3倍に増加していました。

ただ最近の傾向はわからない。

反社会性人格障害、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)

反社会性人格障害(ASPD)とは、犯罪を含めた反社会的な行動を平然と繰り返す精神障害です。

犯罪に至らなくても社会的なルールや法律を平気で破り、攻撃的で、嘘をつき、性的に放縦といった特徴があります。

当然、ASPDの特徴からも分かる通り、人間的な社会内での人間関係、結婚、子育ては不可能か、非常に困難です。

ASPDはHQ障害だと推測され、実際にMRIを使った脳イメージング法では、明らかに前頭前野の神経回路が衰退(通常の人と比べて平均11%ほど萎縮している)しており、前頭前野に構造的・機能的異常があることが示されています。

ASPD患者は思春期頃からASPD的な症状を示すことが多いことから、基本的に発達障害が原因だと思われます。

サイコパス

サイコパス(psychopath)、精神病質者とは、サイコパシー(精神病質)と言われる、社会に適応することが難しい恒常的なパーソナリティ障害を持つ人のことです。

用語として異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われていますが、精神障害の診断では反社会性パーソナリティ障害(ASPD)に分類されます。

サイコパスは犯罪心理学者のヘア(R.Hare)による基準が標準的で、次のような特徴があります。

  • 良心が異常に欠如している。
  • 他者に冷淡で共感しない。
  • 慢性的に平然と嘘をつく。
  • 行動に対する責任が全く取れない。
  • 罪悪感が皆無。
  • 自尊心が過大で自己中心的。
  • 口が達者で表面は魅力的。

研究分野が違うものの、サイコパスとASPDは似ているため、ASPDと同様に前頭前野(とくに前頭眼窩皮質や前帯状回皮質)の障害が伴っているHQ障害症候群です。

また、サイコパスはASPDに近い「逮捕されたサイコパス」と「非逮捕サイコパス(成功しているサイコパス・マイルドサイコパス)」の2タイプに分けられます。

逮捕されたサイコパスの前頭前野は、ASPDと同様に萎縮しており、健常者と比べてASPDが平均11%に対して、逮捕されたサイコパスは平均22%と萎縮の程度も大きくなります。

その一方で、非逮捕サイコパスは前頭前野の機能障害があるが、萎縮は認められない。

非逮捕サイコパスの本性は、血も涙もない冷酷な極端な利己主義者であるものの、犯罪行為を行わない低い反社会性を持ち、嘘がうまく、計画性があり、饒舌で魅力的に見えるため、成功しているサイコパスやマイルドサイコパスとも言われます。

このような性格特性を持つため、実業家や政治家、弁護士、外科医、警察官など向いているようです。

動機のない不可解な少年犯罪と少年版ASPD(行為障害)

少年犯罪には、動機や原因がハッキリしている少年犯罪と、動機のない不可解な少年犯罪があります。

原因が分かる少年犯罪では、経済的貧困などが動機となるカツアゲなどの諸犯罪や、思春期の性ホルモンの関係による喧嘩や傷害事件、粗暴事件、暴走族の暴走行為があります。

軽度の犯罪とはいえ当然悪いことですが、脳にとっては「社会関係を学ぶ」という意味でポジティブな側面もあります。

一方で動機のない不可解な少年犯罪には、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」や「酒鬼薔薇聖斗事件」など重度の少年犯罪があります。

このような重度の犯罪は、「なぜそんな酷いことができるのか、まったく理解できない」といった社会や周囲の理解を超えているおり、HQ障害症候群と言えます。

HQは人間性知能として、社会規範に基づく行動や共恵戦略において最重要な役割を持つので、HQが低下すると、そうした行動や戦略に反する「不可解な行動」が出ます。

また、不可解な犯罪を起こす主犯格の犯人の場合、突発的なものではなく、犯罪が表面化する前に反社会性人格障害ASPDのような症状を示します。

犯罪自体もASPDによる凶悪犯罪と共通点が多い。

これは前頭前野の萎縮が伴うような成人の反社会性人格障害者(ASPD)は、成人になっていきなり起こるのではなく少年時代から萎縮が進行しています。

ASPDは18歳以上の診断名で、少年版ASPDは行為障害(CD)と言われます。

いじめ

原因がいじめで、自殺をする子供も多いです。

いじめは古く新しい問題で、いつの時代でも、現在の多くの国でもあり、グループで一個体を攻撃することや、集団で強者が弱者を頻繁に攻撃することを「いじめ」と定義すると、その起源は真猿類が誕生した4000万年ほど前です。

この定義だと、いじめは進化的な基盤があるため、教師の「いじめはない」と言う発言は嘘であり、いじめは必ず起きるものを考えるのが普通です。

思春期頃のいじめが深刻化する原因は、2〜3歳頃から蓄積するべき社会規範や良好な社会関係を体験する機会が少ないため、良好な社会関係が習得できずに、進化的基盤が強い「いじめ」が思春期に起きてしまうのです。

HQの研究では、HQの一指数である一般知能gが高い子供は、いじめをしたり、されたりすることが少ない傾向にあります。

また、深刻ないじめを繰り返して少年院に入った子供たちでは、心の理論(TOM:他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する心の機能)や反応抑制能力(衝動を抑える)が低下していることが分かっています。

しかし、まだ子供の場合は社会関係を学ぶ段階なので、「幼稚な社会関係」とみなしても良いですが、成人してまでいじめをすると言うのは、軽度なHQ障害症候群であると言えます。

ニート

ニートは、どの国でも社会問題となっていますが、ニートの一部の人はHQ障害症候群の可能性があります。

欧州と日本では、ニートの定義に違いがあります。

欧州版ニートでは「社会保障を受けないと自活できない人」で、日本版ニートだと「仕事をしたいが求職活動をしない人」と「仕事をしたくないので求職活動をしない人」となります。

日本版ニートに限ると、日本のニートの23%ほどは発達障害か、その疑いがあると言う報告が2006年に出ているようで、これが確かならニートはHQ障害症候群と言えます。

また、明らかにHQ低下が認められるニートもいます。

日本で一流企業に就職してからニート化した若者たち(23歳以上)を診ている心理療法士や研究者の心理テストの結果では、HQの根幹である前頭前野の働きが統合失調症の患者と同程度まで低下していました。

一流企業からドロップアウトした若者は、勉強ができ受験をクリアしてきた世間的に「優秀な人物」なので、統合失調症ではありません。

つまり、一部の日本版ニートHQ以外の多重知能は伸ばして勉強や試験はできるが、HQを伸ばす子育てや教育を受けてこなかったことで、HQを低下させる環境要因によってニート化していると考えられます。

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