アドラー心理学「嫌われる勇気」の続編「幸せになる勇気」[著]岸見一郎、古賀史健

2017-04-28アドラー哲学・個人心理学,書評

「嫌われる勇気」の続編である「幸せになる勇気ー自己啓発源流「アドラー」の教え!!」が発売されたので、早速読んでみました。

「嫌われる勇気」ではアドラー心理学の理論が哲人と青年の対話形式で分かりやすく書かれていましたが具体的な方法論は分かりませんでした。

しかし、続編である「幸せになる勇気」では「嫌われる勇気」の疑問点を解消してくれました。

本著「幸せになる勇気」では、アドラー心理学での人生の3つの課題「仕事の課題」「交友の課題」「愛の課題」の対人関係にどう向き合い、対処するかについて実践的な本として書かれています。

そして、この本のキーワードは「自立」です。今回は「自立」について気になった部分を私なりの解釈で書いています。

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賞罰教育はダメ! アドラー心理学の自立を即す教育とは?

教育の目的とは、子供たちが自立できるように手助けして、人生である対人関係の3つの課題へ取り組めるように育てることです。

「幸せになる勇気」では自立についてこう書かれています。

  • 自立とは「わたし」の価値を自ら決定すること
  • 自立とは「自己中心性」からの脱却すること
  • つまり、自立とは「自分を信じること、他人を信じること」

現代は叱る教育から褒める教育に移り、褒めて伸ばすことが素晴らしい教育方法だと思われて、たくさんの人がその教育を推奨しています。

しかし、アドラー心理学では叱る教育も褒める教育も否定します。なぜなら、それが子供たちの自立を阻害してしまうからです。

賞罰で育った子供は叱られる教育で命令だけに従う人間になり、褒める教育で他人に褒められることが目的となるのです。

つまり、他人に従うだけで「自分で目標を設定して、自分の頭で考えて決断し、自ら行動すること」ができなくなるということです。

「他人の言うことに従ってきた人」や「他人に褒められるから頑張ってきた人」は、いざ自分で将来を決めようとした時に「何をしていいかわからない」「自分が何をしたいのかわからなくなる」のだと思います。

そして、自立できないまま社会に出ると、いつの間にか自信をなくしてしまいます。

では、教育で褒めてもいけない、叱ってもいけないのならどういう教育をすればいいのでしょうか?

アドラー心理学では賞罰教育ではない自立を即す教育方法が紹介されています。

  • 親切にされたら「ありがとう」と感謝の言葉を伝えること。
  • 挫折したなら「どうしたらいいと思う?」と一緒に考えること。
  • 自信をなくしたなら「勇気づけ」すること。

このような教育をすることで、主体的に思考し行動できる自立した人間を育てることができます。

人と人は永遠に分かり合えないからお互いが自立しないといけない

「愛に落ちる」「愛に溺れる」なんて言葉があるように、愛は盲目的な考えは、愛ではないと本著では語られています。

哲人:あなたがカメラをほしがっているとします。中略…このときあたなは、まるで恋に落ちたかのようにカメラに取り憑かれ、とめどない欲望の「嵐」に襲われるはずです。中略…。

哲人:しかし、実際に手に入れてしまうと、半年としないうちに飽きてしまう。どうして手に入れた途端に飽きるのか?あなたはドイツ製のカメラで「撮影したかった」のではありません。

それを獲得し、所有し、征服したかっただけなのです。・・・あなたの語る「落ちる愛」は、この所有欲や征服欲となんら変わりがありません。

この文を読んで、皆さんの失敗した過去の恋愛や人間関係をどう考えますか?

「本当に相手のことが好きだったのだろうか?」「相手を独占し、所有したかっただけではないか?」

特に若いときは「これをやってほしい」「自分に関心や興味を持ってほしい」「認めてほしい」「愛してほしい」と「落ちる愛」のような自己中心的な考えを持ってしまいます。

しかし、それでは幸せになれません。

愛とは「ひとりで成し遂げるものではなく、ふたりで成し遂げるもの」だからです。

哲人:フロムは言います。「人は意識のうえでは愛されないことを恐れているが、ほんとうは、無意識のなかで、愛することを恐れているのである」と。そしてこう続けるのです。

「愛するとは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に、全面的に自分をゆだねることである」と。

相手が考えていることすべてがわかることなどありえません。逆に自分のことをなんでもわかってもらえるなんて思ってもいけない。

「人と人とは永遠に分かり合えません。だからこそ、自ら他人を信頼する、愛するしかない」

聖書に書かれている「与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる」という教えを実践するには、アドラーが言うように自分自身が他者に与えられる人間にならないといけません。

つまり、愛を育てるには「お互いの自立」が必要なのでしょう。

アドラー心理学「幸せになる勇気」を読んで実践しよう!!

「嫌われる勇気」も読んで感動しましたが、「幸せになる勇気」も素晴らしい内容でした。この本もわたしの人生のバイブルとして、何度も読み返したい本の一つです。

自分に自信があって対人関係に悩みがない人にとっては普通の本かもしれません。

しかし「友達ができない」「恋愛がうまくいかない」など、自分は対人関係が苦手だと感じている人にとっては、「自分の間違いを指摘してくれ、正しい道を教えてくれる」とてもおすすめしたい本です!

「幸せになる勇気」は「嫌われる勇気」の続編になるので、先に「嫌われる勇気」を読むとアドラー心理学をより深く理解できるます。

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