レジリエンスを構成する7つの能力 – ポジティブ心理学
人生では困難な状況におかえることが多々あり、私たちは直面する逆境をその都度、乗り越えないといけません。
そんな時に必要となるのが、私たちの内面にあるレジリエンス(逆境力)です。
そして、このレジリエンス(逆境力)は7つの能力で構成されています。
感情調節力
感情調節力とは、プレッシャーのもとで落ち着きを保つ能力です。
自分の感情調節が苦手とする人は、パートナーを感情的に疲弊させたり、職場でうまく協業できなかったりなど、相手をうんざりさせてことで人間関係の構築や維持が難しくなります。
また、感情は相手を疲弊させるだけでなく(共感によって)伝染するため、感情調節を苦手な人と同じように、怒りっぽく、不機嫌で、心配性になります。
もちろん、感情を完全に隠し続けると人生の輝きが鈍るのと同様に、すべての感情をコントロールする必要はなく、ネガティブ感情であれポジティブ感情であれ適切な感情表出が健康的で建設的です。
重要なのは、逆境に対処したり、問題解決したり、他者に働きかけたり、冷静さが必要なときに、自分の感情にとらわれ過ぎないことです。
この感情調節力に有効なテクニックは、「自分をABC分析する」と「心を静めてフォーカシングする」があります。
衝動調節力
衝動調節力とは、自分の本能や快楽的な願望をコントロールして、理性的に言動を保つ能力です。
自分の衝動を抑えられない人は、衝動をコントロールできないので、飲みすぎ食べすぎ、不適切な発言が多い、何かに興奮して行動するが興味を持続させることができません。
そして、感情調節と衝動調節は密接に関係しています。
衝動調節力が高い人は感情調節力も高い傾向にあり、衝動調節力が低い人は状況において自分の最初の衝動的な考えを正しいとした行動をします。
衝動を抑える力について有名な心理学の実験である「マシュマロ・テスト」では、衝動を抑えることができる子供はそうでない子供と比べて、将来的に社会的にも、学業面でも顕著な優秀さが見られるます。
この衝動調節力に有効なテクニックは、「自分をABC分析する」と「思考のワナを避ける」があります。
【マシュマロ・テストの詳細】成功するか子・しない子か性格診断!マシュマロ・テストでチェック
楽観力
楽観力とは、未来を比較的明るいものとしてとらえることを意味します。
レジリエントな人は楽観的です。
彼らは未来に希望を持ち、物事をよい方向へ変えられると確信しており、人生の方向をコントロールできると信じています。
楽観的な人は悲観的な人と比べて、健康で、抑うつに脅かされにくく、学校でもうまくやり、仕事は生産的で、スポーツでも勝利しやすいと何百もの比較実験で証明されています。
また「楽観力」は、自分の問題を解決したり、自分の世界を管理する能力に対する自信である「自己効力感」と多くの場合、連携します。
なぜなら、楽観力は解決策を模索したり、状況を改善するために努力する意欲となるからです。
逆に自己効力感と連携しない単なる楽観視は危険です。
言うなれば「空から爆弾が爆弾が落ちてきてるのに、自分には当たらないから大丈夫」と考えるのと同じだからです。
この楽観力に有効なテクニックには、「思い込みに挑む」と「大局的にとらえる」があります。
原因分析力
原因分析力とは、人が自分の問題の原因を正確に特定する能力です。
この能力が低い人は、問題の原因を見極めることができないので、同じ失敗を何度となく繰り返してしまいます。
ポジティブ心理学では原因分析において特に重要なのが「説明スタイル」であることが発見されました。
説明スタイルとは、自分に起きた良いことや悪いことを説明する習慣のことです。
【説明スタイルの詳細】楽観主義者か悲観主義者かタイプ分けする「説明スタイル」とは
この説明スタイルの違いによって、人は楽観的で逆境に強くなれますし、逆に悲観的で無力となって絶望し、最終的に無気力状態やうつ病を患います。
最もレジリエンスの高い人は、柔軟な認知力を持ち、特定の説明スタイルにとらわれることなく、直面する逆境についてその主な原因をすべて特定することができます。
この原因分析力に有効なテクニックは、「思い込みに挑む」があります。
共感性
共感性とは、他者の心理的・感情的状態を示す手がかりをどれだけうまく読み取ることができるかを表します。
私たちの中には、他者の顔の表情や声のトーン、ボディランゲージなど、非言語的情報を解釈し、人が何を考えて何を感じているかを巧みに判断できる人たちがいます。
一方で、相手の立場で考えられず、その人が何を感じているかを推測し、その人が何をしようとしているか予測することができない人も。
問題はこういうスキルがないとビジネスなど、理解され、評価されていると相手に感じさせる必要がある人間関係で損をします。
共感力の低い人は、決まり切った型通りの行動を繰り返し、他者の感情や意欲を破壊します。
もしあなたが他人から軽く扱われている、敬意がないと感じたり、夫婦関係うまくいっていない、息子が内向的で陰気になってしまったのなら、あなたに原因があるのかもしれません。
この共感性に有効なテクニックは、「自分をABC分析する」と「氷山を見つける」があります。
自己効力感
自己効力感とは、世界において自分は有能であるという感覚のこと。
自己効力感が高い人は、これから起きるであろう問題を解決できるという信念と、自分を成功に導く能力への確信を持っているので、仕事ではリーダーとして頭角を現します。
一方で、自己効力感を持てない人は、自分が大衆の中に埋もれてしまっているかのように感じ、何気なく自信がないことを知人に言いふらし、他者に助言を求めます。
この自己効力感に有効なテクニックは、「思考のワナを避ける」と「思い込みに挑む」があります。
リーチアウト力(働きかける能力)
リーチアウト力(働きかける能力)とは、リスクを承知で自分の人生に働きかける力を言います。
多くの人は自分の人生に働きかけることを恐れます。
そして、その理由には次のようなことがあります。
- 公衆の面前での失敗で笑われるくらいなら自分の殻に閉じこもる。
- 未来に生じる逆境やリスクを大げさにとらえる。
- 行動しないことよりも、行動して失敗したことの方が大きな損害だと見誤る。
- 自分の能力の真の限界が暴露されてしまうという恐怖にさらされる。
レジリエンスは、新しい経験を探索し、人生を発展途上のように捉えられる考え方(マインドセット)です。
なので、レジリエンスは単に困難な状況において打ち勝ち、乗り切り、立ち直るといった挫折からの回復にとどまるのではなく、人生のポジティブな側面をも高めることができます。
つまり、レジリエンスは探検家の精神でポジティブな姿勢を創り出し、維持することを可能とします。
これにより仕事で新しい責任を負ったり、よく知りたいと思う人に恥をかくリスクを負ってアプローチしたり、自らをもっとよく知り、他者とより深くかかわることを試される経験を積極的に求めたりする勇気を持つことができます。
このリーチアウト力(働きかける能力)に有効なテクニックは、「氷山を見つける」と「思い込みに挑む」、「大局的にとらえる」があります。
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