不適切な復習!エビングハウスの忘却曲線とは

勉強・学習

勉強のやり方を調べたことがある人なら「エビングハウスの忘却曲線」を知っていると思います。

エビングハウスの忘却曲線を使った復習のタイミングを間違わなければ、効率よく記憶が再生されて勉強時間を短縮できるというものです。

ただエビングハウス自身も認識していたように、実際の勉強では使えないということは知っておきましょう。

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エビングハウスの忘却曲線とは

1870年代後半、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス(Hermann Ebbinghaus)は、博士号を取得して哲学者となり、哲学での人間の性質や心理を科学的に厳格な測定をしたいと考えていました。

そんなある日、パリの古書店で見つけたグスタフ・フェヒナーの「精神物理学の基礎」という本に影響を受けた。

この本で、フェフナーは人間の内側にある精神世界と外側にある自然世界をつなぐ一つの数式を見いだしたことを知ったエビングハウスは、記憶の方程式を見いだそうしました。

そこで記憶に関する実験的研究を行って発見したのが「エビングハウスの忘却曲線」です。

忘却曲線とはその名の通り、事件の経過と忘却の関係を表すグラフのことで、新しく覚えた情報が時間の経過とともに消える割合を表しています。

それが次のグラフで、この忘却曲線をひっくり返すと学習曲線になります。

  • 20分後には42%忘れる
  • 1時間後には56%忘れる
  • 9時間後には64%忘れる
  • 1日後には67%忘れる
  • 2日後には72%忘れる
  • 6日後には75%忘れる
  • 31日後には79%忘れる

忘却曲線は記憶の節約率を表したグラフ

エビングハウスの忘却曲線は、「忘却」という言葉が使われているので「忘れやすさを示したグラフ」だと思われています。

ただこれは誤りで、本来エビングハウスの忘却曲線は、経過時間ごとの「節約率」を表したグラフです。

  • 20分後には、節約率が58%であった。
  • 1時間後には、節約率が44%であった。
  • 9時間後には、節約率が36%であった。
  • 1日後には、節約率が33%であった。
  • 2日後には、節約率が28%であった。
  • 6日後には、節約率が25%であった。
  • 31日後には、節約率が21%であった。

節約率とは、一度記憶した内容を再び完全に記憶し直すまでに必要な時間(または回数)を、どれくらい節約できたかを表す割合です。

節約率を式で表すと次の通りです。

(節約率)=(節約された時間または回数)÷(最初に要した時間または回数)(節約された時間または回数)=(最初に要した時間または回数)-(覚え直すのに要した時間または回数)

エビングハウスの記憶実験

エビングハウスが記憶の方程式の解明方法は、約2300の無意味な音節の一覧を作るというものでした。

その一覧とは、母音を子音で挟んでできる無意味な音節で、「RUR,HAL,MEK,BES,SOK」といった具体のもので、7〜36個のグループに無作為に分けたものです。

その音節グループを自ら記憶します。

覚える時はメトロノームを使って一定の速度を保ち、確認テストで満点をとるまでに繰り返した音読の回数を記録しました。

また、休憩を挟む間隔を変えることも行い、最初は20分からはじめて休憩時間の間隔を広げたり、覚える時間を設ける回数も変えました。

その結果、覚える回数を増やすほど確認テストの点数は高くなり、忘れるスピードが遅くなることが明らかになり、分散学習の効果も明らかにしました。

エビングハウスは、この自らの実験結果を「記憶について 実験心理学への貢献」という一冊にまとめ、学習と記憶の研究に大きく貢献しました。

忘却曲線による復習は最適な勉強法ではない

勉強法の一つに、エビングハウスの忘却曲線を土台として、最適なタイミングに復習することで学習時間の節約をするという学習テクニックがあります。

正しいとする意見もありますが、逆にこの勉強法は実用的でないという指摘もあります。

その根拠となるのが、エビングハウスが無意味な音節だけを使って自らの記憶をテストした点にあります。

記憶した意味のない3文字は、音節どうしでも、音節以外のものとも関連性がなく、構造化された言語やパターンの一部をなさないので、脳は無意味な音節を長く保持できません。

エビングハウス自身もこれを認識しており、忘却曲線は自身が記憶を試みたもの以外には適用できないかもしれないと記しています。

実際にその後の学習の研究では、意味のある詩や言葉の一覧を覚えようとした場合、記憶が回復することが確認されており(レミニセンス)、無意味なことを記憶した忘却曲線のようになりません。

つまり、(意味のあることを学ぶ)普通の学習ではエビングハウスの忘却曲線を活用しても最適な勉強法にならないということです。

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