ロジカルシンキングの論理展開パターンの帰納法とは?
ロジカルシンキングの帰納法は、複数の出来事や事柄から共通点を取り出して一般論や法則、ルールを導く論理展開パターンの一つです。
この帰納法は、他人の性格のタイプ分けからビジネスでの消費者のニーズを知るためなどに誰でも自然に使っている思考法で、演繹法と同じように活用する機会も多いです。
なので、帰納法を正しく理解して活用しましょう。
ロジカルシンキングの帰納法とは?
ギリシャ哲学での三代哲人の一人であるアリストテレスが明らかにした、ロジカルシンキングの基本である論理展開には3パターンあります。
それは「演繹法」「帰納法」「アブダクション」で、筋道を立てて段階的に論を進めていき合理的な結論や主張を導くために用いられます。
この中の帰納法とは「複数の事象に共通を取り出して1つの結論を導き出す方法」で論理展開を進めます。
例えば、次の「ソクラテスを死ぬ」という演繹法の三段論法を説明する代表例では、大前提に「人間は必ず死ぬ」という法則が使われますが、これは帰納法によって導き出した結論です。
- 大前提:人間は必ず死ぬ。(帰納法で導いた一般論・法則)
- 小前提:ソクラテスは人間だ。
- 結論:ソクラテスは死ぬ。
「人間は必ず死ぬ」という法則を導くために、帰納法を使って複数の事例を調べて法則が正しいことを証明する必要があります。
現在では人間は必ず死ぬことは証明されていますが、大昔は神秘的な力によって不老不死があると考えられていました。
そのため、世界中のあらゆる人種を調べて人間が必ず死んでいることを観察できて、初めて「人間は必ず死ぬ」という法則が正しいと証明されます。
帰納法の仕組み
帰納法の仕組みは、複数の事象、ルール、主張、情報などから、いくつかの共通点に着目して無理のない結論を導き出す方法なので、できるだけ多くの情報を集める必要があります。
例えば、「日本が地震大国である」という法則を導くためには、日本の47都道府県で地震が起きている事実があれば、この法則が正しいと言えます。
- 事象:東京で地震があった。
- 事象:大阪で地震があった。
- 事象:福岡で地震があった。
- 事象:北海道で地震があった。
- 事象:その他の都道府県でも地震があった。
- 結論:日本全国で地震が起きるので「日本は地震大国だ」と言える。
また、帰納法は演繹法と違って自動的に結論を導くことができないので、地震のように簡単に調べられるものもあれば、もっと複雑な専門的分野では多くの知識と想像力が必要です。
演繹法と帰納法の組み合わせ
帰納法と演繹法は密接な関係性があります。
それは帰納法と演繹法は合体して使うのが一般的で、帰納法で導いた結論である一般論や法則、ルールを演繹法で使って最終的な結論を出すからです。
例えば、先ほど帰納法で「日本は地震大国だ。」という法則を導きましたが、これを演繹法で使っていろんな結論を導くことができます。
- 大前提:日本は地震大国だ。(帰納法で導いた法則)
- 小前提:新しいビルの建設をする。(事象)
- 結論:耐震構造を取り入れて建設する必要がある。
- 大前提:日本は地震大国だ。(帰納法で導いた法則)
- 小前提:地震で大勢が死ぬ。(事象)
- 結論:防災対策は必要だ。
このように以前に証明された法則がある場合は、演繹法で結論をすぐに導けますが、一般化された法則がない場合は帰納法を使って、信頼できる法則を自分で見つける必要があります。
帰納法で間違いやすいポイント
帰納法で結論を導く際に間違いやすい点は「安易な一般論化」してしまうことです。
例えば、日常生活で多くの人が帰納法的に他人の性格をタイプ分けして区別しますが、この時ほどんどの人はステレオタイプか、自分の感情や体験を元にした主観だけで他人を認識します。
しかし、これでは自分の気分次第で相手の印象が違ってきますし、人の体験は偏るものなので自分に都合が悪い出来事を無視したり、一部分しか見ない視野が狭い判断をしがちです。
帰納法で安易に一般論化したときの間違いには次のようなものがあります。
- 見た目がチャラいと中身もチャラい。(逆に清楚な見た目だと中身も清楚も間違い)
- 男性は浮気する。(男性でも浮気しない人もいるし、現在では女性の方が浮気をするかも)
- 女性は面白く優しい男性が好き。(女性は決して自分の都合がいい男性が好きとは言わない。)
- 占いは当たる。
- お金があれば幸せになれる。
- 勉強して良い大学いけば幸せになれる。
帰納法は人それぞれの知識と想像力によって結論に大きな差が生まれるため、専門的な知識や想像力があれば、主観で判断することが少なくなるため、より正しい結論を導き出せます。
しかし、帰納法は結論は1つとは限りませんし、結論が出ないこともあり得るため、演繹法よりも取り扱いには注意が必要です。
【関連】ロジカルシンキングの演繹法と帰納法で間違いやすい6つのポイント
帰納法のビジネスシーンでの活用例
ビジネス(仕事)の本質は、「自分の能力を使って他人の役に立つこと」なので、すべての企業は消費者の情報を集めてニーズを理解しようとします。
例えば、性別、年齢、職種、年収、趣味嗜好、意見などの情報を集めて、消費者が喜ぶ新しい商品や効果的なサービス、広告を打ち出します。
つまり、集めた情報を帰納法を使って法則かして消費者のニーズを考えて、そのニーズを元に演繹法で商品やサービスを考えるのです。
また、実店舗を構える企業は、商品棚のデータや来店したお客さんの行動を記録しており、商品棚の位置や陳列方法にも気を使って、お客さんが気持ち良く買い物できるように工夫をしています。
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