すべての悩みは対人関係!悩みゼロにするには宇宙でたった一人きりになるしかない

2021-03-05アドラー哲学・個人心理学

長く生きれば、それだけ人生で良いことがありますが、自分の将来の選択や家族、健康、お金などに悩むことも増えていきます。

このような人生であるすべての悩みについて、アドラー心理学では対人関係にあると考えます。

では、なぜそんなことが言えるのか紹介していきます。

人間のすべての悩みは対人関係にある

アドラーは「あらゆる悩みは対人関係の課題である」と言いました。

これは私たちが抱える悩みというのは、他人との関わりにおいて生じており、どんな悩みも他者の影が介在しているということ。

ただ本当にそう言えるのか疑問を持つ人も多いと思います。

これを理解するために、人が抱える悩みのほとんどに当てはまると言われる「HARMの法則」に当てはめて考えて見ましょう。

「HARM」とは、人間の代表的な4つの悩みの頭文字を繋げたもので、その悩みとは次のものです。

  • H=Health:健康・美容
  • A=Ambition:夢・将来・キャリア
  • R=Relation:人間関係・結婚・恋人・会社
  • M=Money:お金

Health:健康・美容

もしあなたが健康な体ではなく、障害を持って生まれたとしましょう。

しかし、それが障害だと判断するためには、正常な状態がどんなものかわかっていないといけず、他者との比較をして自分がどう違うか、どう不便を感じるかを知ることで「わたしは障害を持っている」と判断できます。

なので、みんなが四肢がない状態で生まれたなら、それが世界の当たり前であり、障害というものは存在しません。

そして、この考え方は美容でも同じで、他人と同じ容姿なら誰も悩まないです。

また、あなたが不治の病に犯され、もっと長生きしたいけどできないことで悩むでしょう。

この悩む理由も、何で自分だけが不幸なのか、残される家族はどうなるのか、もっと子供の将来を見届けたかったなど、やはり他者がいるからこその悩みです。

Ambition:夢・将来・キャリア

夢・将来・キャリアでの悩みも対人関係の悩みだと考えることができます。

なぜなら、夢・将来・キャリアというのは、他者がいるからこそ成り立つからです。

憧れのあの人のようになりたいのは、あの人がいるからこそですし、憧れの職業につきたいというのも、他者に必要とされる職業であってこそです。

また、夢・将来・キャリアは、ある限られた枠を争うので、他者との競争に勝たないといけません。

これも他者があってこそ夢・将来・キャリアが成り立ち、その悩みも存在するのです。

Relation:人間関係・結婚・恋人・会社

異性との人間関係では、性別が異なることで感覚や価値観に違いが生じるので、その違いが人間関係の悩みに発展しやすいでしょう。

会社の人間関係では、仕事の出来不出来によって左右されやすく、「仕事が思うように進まない」「誰も認めてくれない」「目標が達成できない」という悩みがあります。

これらも上司や周囲の人から否定されれば悩み、「それで問題ないよ」と言われれば悩むことはありません。

また、仕事においてはリストラや転職で悩む人もいるでしょう。

これは社会で「自分の居場所を確保できるかどうか」という悩みであり、自分がどのような役割を果たし、どのように貢献できるかという悩みです。

これも対人関係の悩みに行き着きます。

Money:お金

お金で悩む人も多いと思いますが、お金も対人関係の悩みです。

そもそもお金というのは価値の代替え手段であり、お金を支払うことで物を買い、サービスを受けることができます。

なので、お金は便利なツールであり、お金があればあるほど困ることはありません。

では、人はお金の何に悩んでいるのかというと、他者と自分の境遇の違いに劣等感を感じているからで、その劣等感による不幸をお金のあるなしが原因だと思い込んでいるだけです。

もし世の中に貧富の差がなく、みんな等しく貧しい、あるいはみんな等しく裕福なら、お金に執着心を抱かず、あまり悩まないでしょう。

他者との比較ではなく劣等感が悩みの原因となる

前述の通り、「HARMの法則」での悩みは、すべて対人関係の悩みと考えることができます。

そして、対人関係の悩みは、他者との比較をすることで悩みが生じています。

そのため、他者と自分を比較することはダメなことと考える人もいますが、それは間違いです。

なぜなら、他者との比較があって自分自身が規定されるからで、自分の長所も短所も、得意不得意、強み弱みなど、これらすべて他者がいるからこそ自分自身を知ることができるのです。

では、他者との比較ではなく、何が悩みの原因となっているのかというと、それが自分自身が抱く劣等感が根本的な原因となっています。

対人関係の悩みを解消する方法

人間は社会的な生き物であり、本質的に他者の存在を前提として生きています。

なぜなら、「孤独を感じるのにも他者を必要とする」からで、自分を取り巻く他者、社会、共同体があり、そこから疎外されていると実感するからこそ孤独になれるのです。

アドラーは「悩みをゼロにするには、宇宙でたった一人きりになるしかない」と言いました。

しかし、宇宙で一人きりなるというのは、現実的にありえません。

実際に対人関係の悩みを解消したいのなら、「人生で欠かすことができない対人関係に立ち向かうこと」が必要になります。

この人生で欠かすことができない対人関係をアドラー心理学では、人生の課題(ライフタスク)や対人関係のタスクと呼び、これに取り組むことで人間は幸福になっていくと考えます。

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