強いワーキングメモリで子供の学力や勉強の成績が上がる!
勉強ができない、努力しても成績が上がらないことで悩む学生は多く、塾に通ったり、学習方法の改善をしたりなどの対策をとります。
それでも勉強の成績が伸びないなら、それ事前の問題でワーキングメモリが弱い可能性があります。
ワーキングメモリは学習の基本である「読む(読解)、書く、算数(計算)」にもっとも影響する認知スキルです。
学習はIQよりワーキングメモリが重要
成功する人としない人という話になると、才能と努力はどちらが重要なのかという話になります。
これが学習になるとIQ(知能指数)が高く才能がある人か、ワーキングメモリが強く努力家という話に変えることができます。
IQとワーキングメモリ、学校の成績に関する研究では、200人の園児にワーキングメモリ・テストとIQテストを含むさまざまなテストを受けてもらい、小学生になってからの勉強の成績を比べました。
その結果、幼稚園時代のIQと小学生での成績に、ほとんど関連性がないことが分かりました。
例えば、被験者の子供のIQは平均的だったのにも関わらず、小学2年生になる頃には授業についていけなくなりました。
そこで勉強ができない子供のワーキングメモリを調べると、同級生と比べてかなり低いワーキングメモリであることが分かりました。
これは他の子供でも同じで、園児に行ったワーキングメモリ・テストをおこなってから6年後に子供の学業成績を調べると、ワーキングメモリは学力や勉強の成績に強く影響していることが分かりました。
実際に幼稚園時代のワーキングメモリのスコアから、95%の確率で小学6年生のときの成績を予測することができました。
ちなみに、自制心や意志の力も学力や勉強の成績に強く影響するという研究がありますが、ワーキングメモリは自制心や意志の力を作るので結果は同じになります。
ワーキングメモリが弱いと学習の基本ができない
学習の基本は「読み(読解)、書き、算数(計算)」ですが、IQと学習の基本の成績とはほぼ無関係であり、もっともワーキングメモリが重要な認知スキルであることが研究でわかっています。
読解力と算数でのワーキングメモリの影響
カナダのブリティッシュコロンビア大学特別支援教育研究所所長のリンダ・シーゲルは、7〜13歳の子供を対象に学習におけるワーキングメモリ重要性を調査をしました。
するとワーキングメモリが弱いと読解に問題が生じ、計算も苦手とする傾向があることが分かりました。
他にもイギリス心理学者レベッカ・ブルが、イギリスの生徒を対象にした同様の調査では、ワーキングメモリが弱い生徒は、数字の情報処理が苦手なので算数の成績が悪いと報告。
このような生徒は、ワーキングメモリを活用して数字の情報を記憶することが苦手なので、異なる数学的な考え方を上手に統合することができないので、文章題を解くのも苦手でした。
またアメリカのミズーリ大学コロンビア校の心理学者デヴィッド・ギアリーが10年近くかけて、数学のスキルにおけるワーキングメモリの重要性を調査しました。
数々の論文のひとつでは、幼稚園から小学5年生までの子供の成長過程を追うと、算数が苦手な子供は同級生と比べてワーキングメモリのスコアが低いと報告しました。
言語学習でのワーキングメモリの影響
言語学習においても、もっとも重要な認知スキルはワーキングメモリであると研究で明らかになっています。
カリフォルニア大学の研究者たちが高校生を対象に3年以上にわたって実施した調査では、読んだり聞いたりした文章を理解する際に鍵となるスキルがワーキングメモリであると報告しました。
他にもウィスコンシン大学マディソン校のスーザン・エリス・ワイスマーの研究では、ワーキングメモリが文法の学習や語彙の習得に欠かせないことを示しました。
報告によると平均的なIQの生徒でもワーキングメモリが弱いと、新たな単語を記憶したり、文法を覚えたりするのが苦手で、特に短時間しか提示されない情報を学習するのが苦手でした。
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