不老不死と若返りが実現!?寿命を伸ばす「テロメラーゼ」とは
誰でも老化を防ぎ、若さを保ちながら年を重ねられれば、高齢になっても健康で体に不自由することがなく幸せです。
「現在、若者はそのままの体で年を重ね、老人は体が若返りをする」そんな夢物語のような世界が現実のものになるかもしれません。
細胞老化の原因「テロメア」とは
まず老化を防いで若返るためには、「なぜ動物は老化してしまうのか?」を知る必要があります。
老化は生活習慣やストレスなどのさまざまな要因によりますが、根本的には体を作る細胞が細胞分裂の限界をむかえて止まり(ヘイフリック限界)、新しい細胞ができないことが老化の原因です。
そして、その細胞分裂の限界を決めているのが「テロメア」です。
テロメアとは、細胞の核にある染色体の先端にあるキャップのような部分のことで、動物や植物など細胞の中に細胞核を持つ真核生物にだけ存在します。
テロメアの働きは、染色体をコピーする際に複製エラーやDNAの損傷を防ぐといった、安定性を維持する働きを持つ「あそび」の部分と考えられています。
テロメアの正体は塩基という化学物質で、「TTAGGG」という塩基配列の並びが人では1万回以上繰り返し並んでおり、細胞分裂するたびにテロメアは短くなります。
1回の細胞分裂ではおよそ25〜200ずつ減って、6000ぐらいで細胞分裂が不安定となり、2000〜5000の間ぐらいになるとヘイフリック限界(細胞分裂が止まる)となり、新しい細胞が生まれないので「細胞老化」します。
個人差ありますが、細胞分裂の回数は約50〜70回しかないできないため「命の回数券」とも呼ばれます。
つまり、老化は細胞分裂によってテロメアが短くなることが原因で、逆を言えばテロメアが短くならなければ、老化防止や若返りができるということです。
「テロメア」と「がん」の関係
テロメアは、細胞分裂が正常に行われるために安定させる働きがありますが、テロメアが短くなると細胞の変異を起こしやすくなり、細胞が「がん化」しやすくなります。
例えば、喫煙者や飲酒好きな人は、それだけ肺や喉の細胞にダメージ増えるため、肺や喉で細胞分裂の回数が増加します。
細胞分裂の回数が増えるとテロメアが短くなるため、細胞の変異が起きやすくなるため、喫煙者や飲酒好きは肺がんや咽頭がんのリスクが高いのです。
神経質な人や悲観的な人は「テロメアが短い」
カルフォルニア大学のエリッサ・エペル教授の研究によると、神経質な人や悲観的な人ほど、テロメアの減り方が早いことが解明されています。
研究では、肉体的にも精神的にもストレスが大きい家族を介護している女性を対象に調査すると、介護年数が長い人ほどテロメアが減って短いことがわかりました。
また、他に一般の人を集めた面接実験では、あえて面接官に無愛想な態度を取って被験者にストレスをかけ、それをどう感じたか面接の前後に聞き取りました。
すると、面接の前から強いストレスを感じる心配性な人々(神経質傾向が強い)、悲観的な人ほど、年齢に関係なく10代の若者や健康な人でも、悲観的な人ほどテロメアが短いことがわかりました。
テロメアを伸ばす「テロメラーゼ」
テロメアが減って細胞分裂しなくなると命の終わりを意味するため、「命のタイマー」と呼ばれているのですが、その命のタイマーをストップできる物質があります。
私たちの細胞の中には細胞分裂してもテロメアが減ることなく、細胞分裂の限界がない細胞があります。
それは幹細胞や生殖細胞、がん細胞などで、「テロメラーゼ」という酵素の働きが活性化されることでテロメアを伸ばしています。
つまり、寿命の限界がないという意味の不老不死や若返りは、「テロメラーゼ」という酵素を活用することで実現する可能性が高いということです。
若返りの薬「テロメラーゼのサプリ」に注意!
テロメラーゼの働きを調べるための動物実験では、テロメラーゼを活性化させるように遺伝子組み替えをしたウイルスをマウスに投与しました。
すると、テロメラーゼの効果でマウスの細胞は若返りましたが、それと同時に「がん」がたくさんできることがわかりました。
日本でもテロメラーゼのサプリを買うことができますが注意が必要です。
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テロメラーゼの発見者であるソーク研究所のエリザベス・ブラックバーン博士によると、2つの理由で賛成できないそうです。
- 長期的に試用されていないので、どんなリスクがあるかわからない。
- テロメラーゼは心臓病や認知症などの病気のリスクは低下するが、過剰になると特定のがんのリスクを高める。
このようにテロメラーゼは不老不死の薬や若返りの薬と言われるが、そこまで効果は期待できないということです。
しかし、逆を言えば研究が進み、テロメラーゼが過剰になっても「がん」ならなければ、本当に不老不死や若返りが可能になるのではないでしょうか。
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