仮想通貨のネム(NEM・XEM)の特徴と将来性
2018年はじめに日本大手の仮想通貨取引所であるcoincheck(コインチェック)から600億円以上のXEM(ゼム)がハッキングにより盗まれる事件がありました。
この歴史的な事件によってNEM(ネム)やXEM(ゼム)という名前の知名度は急速に広がり注目を集めました。
そこでNEM(ネム)やXEM(ゼム)とは、どんな仮想通貨なのか興味を持った人も多いと思うので、今回はNEMやXEMについて紹介していきます。
NEM(ネム)・XEM(ゼム)とは
ネム(NEM)とは、「New Economy Movement」というプロジェクトの頭文字をとってネム(NEM)であり、直訳すると「新しい経済運動」という意味になります。
名前の通りネムの目的は新しい経済の枠組みを作るもので、政府や金融機関に縛られることがないお金の流れを作ることであり、より経済の自由化、平等化を実現を目指しています。
このNEMのプラットフォームで使用される仮想通貨の単位は「XEM(ゼム)」といい、総発行量は8,999,999,999XEMです。
そして、この約90億XEMはすべて発行済みであり、最初におよそ1,600人の投資家に均等に分けられました。
よってビットコインのようにマイニング(発掘)によって新しい通貨が発行されることがありませんがネットワーク貢献者への報酬は存在します。
それをNEMではハーベスティング(収穫)と呼んでいます。ハーベスティングについては後述します。
ネム(NEM)の概要をまとめたものは次の通りです。
- 名称:NEM(New Economy Movement)
- 通貨単位:XEM
- 取引開始:2015年3月
- 発行上限:8,999,999,999XEM(全て発行済み)
- 時価総額:約6000億(第10位)
- ブロック作成時間:約1分
- ネムの公式ホームページ
NEM(ネム)の特徴
NEM(ネム)がビットコインやイーサリアムと大きく違う点は、マイニング方式に「PoI」を採用している点にあります。
また、仮想通貨にとって最重要なのは、私たちのお金が安全に保管されて守られるという点です。NEM(ネム)は、仮想通貨で最重要であるセキュリティでも優れています。
NEM(ネム)のマイニング方式ではPoI(Proof of Importance)を採用
先ほど説明した通り、ネムは政府や金融機関の影響力が及ばない新しい経済運動を目指しているため、マイニングでも中央集権的な仕組みを排除して新しい方式を採用しています。
例えば、ビットコインでは「PoW」、イーサリアムでは「PoS」というマイニング方式が採用されていますが、ネムでは「PoI」を採用しています。
( ※マイニングとは、仮想通貨での取引を承認して新規発行される通貨や手数料分の通貨を得られる仕組み)
それぞれのマイニング方式の特徴は次の通りです。
- PoW(Proof-of-Work):処理速度が早い機械を持つ人がマイニングで有利だが電気料金がかかる
- PoS(Proof of Stake):その仮想通貨を大量に持つ人がマイニングで有利
- PoI(Proof of Importance):ユーザーの重要度が高い人がマイニングで有利
PoWとPoSのマイニング方式は、もともと富があり力がある人たちに有利で新規発行される通貨や手数料分の通貨が得られ易くなり、力がある人たちに富の集中が起こるため、力がない人たちにとっては不公平なマイニング方式です。
しかし、NEMが採用しているPoIという方式は、ユーザーに重要度をつけてNEMのネットワークに貢献している人がマイニングで有利になります。
つまり、一部のお金持ちが儲かるのではなく、XEMを持つみんなが平等に儲けられる仕組みであると言え、ビットコインなどのマイニング(採掘)に対してNEMではハーベスティング(収穫)と呼んでいます。
ハーベスティングの条件(ユーザーの重要度とは?)
ハーベスティングでXEMを得るには、ハーベスティングの条件を満たしてユーザーの重要度を高め、NEMのネットワークに貢献する必要があります。
ハーベスティングの最低条件は「10,000XEM以上」のアカウントを持ち、「既得バランス」が10,000以上あれば、誰でもハーベスティングを行えます。
既得バランスとは、ハーベスティング目的のアカウントを大量に作らせないための仕組みで、残高が10,000XEM以上あるアカウントであれば勝手に溜まっていく数値です。
(※現在、ハーベスティングの最低条件は10,000 XEMに設定されていますが、この金額は地域社会のニーズに応じて変更される可能性があるとのことです。)
そして、重要度を高めてハーベスティングを有利に行うにはXEMの保有量を元に、取引数、取引量、取引相手など考慮した複雑な計算式によって、各ユーザーにハーベスティングの機会が公平に振り分けられます。
なので、取引の回数や一度の取引量が多い人は、NEMのネットワークにとって重要なユーザーとなります。
また、ハーベスティングには、自分のコンピューターで行う「ローカルハーベスティング」と誰かのコンピューターで行う「委任型(デリゲート)ハーベスティング」があります。
ハーベスティングは、名刺サイズの小さなコンピューター(1台3000円のラズベリーパイという名前)でも行えるとか。
なので、コンピューターのパワーが無く電気代もかからないため、興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。
NEM(ネム)は安全性が高いノードを評価するアルゴリズム「EigenTrust++」を採用
NEM(ネム)では「EigenTrust++」という方式を採用することで、NEMネットワークに繋がるコンピューター(ノード)を監視してセキュリティ強化をしています。
「EigenTrust++」によって1つ1つのノードを調べて信頼できるかどうか評価して、違法なコンピュータの不正アクセスの防止策を行っています。
NEM(ネム)の将来性
NEMの将来性を知るうえで重要なのが、mijin(ミジン)というプライベートブロックチェーンのプラットフォームです。
また、mijinで実装されているコードネーム「Catapult(カタパルト)」も注目の材料です。
誰でもブロックチェーン技術を活用できる「mijin(ミジン)」とは
テックビューロ社は、NEMの開発チームを誘致して「mijin(ミジン)」というプラットフォームの開発を進めています。
この「mijin(ミジン)」は、誰でも簡単にブロックチェーン技術を活用できるプラットフォームで、金融機関から個人に至るまで「速く、安全に、安く」ブロックチェーンを活用できるようになります。
mijinについて分かりやすい公式動画があるので視聴してみてください。
mijinについてより詳しく知りたい方は、公式ホームページがあります。
NEM(ネム)とmijin(ミジン)の関係
NEMとmijinは開発元が違いますが、NEMとMijinのAPIの互換性は高く保たれています。
つまり、「NEMでできることはmijinでもできるし、mijinでできることはNEMでもできるようになる」ということです。
なので、NEMはパブリックブロックチェーン、mijinはプライベートブロックチェーンの違う側面で開発が進められた特化をお互い活用できるようになり、より高いセキュリティや取引速度の実現や、これから生まれる新機能も実装できることになります。
この一例として「Catapult(カタパルト)」があります。
NEM(ネム)にCatapult(カタパルト)実装で取引速度が1秒4000件!!
mijinでは、すでに実装されている「Catapult(カタパルト)」は、NEMでも2018年内に実装される予定となっています。
NEMでカタパルトが実装されると「1秒間に最大4000件の取引を処理する」ことができるようになります。
他の仮想通貨と比較してみると次の通りです。
- ビットコイン:1秒間に7件
- イーサリアム:1秒間に15件
- リップル:1秒間に1000件
カタパルトは処理速度だけが飛躍的に向上するだけに止まらず、イーサリアムにもある「スマートコントラクト」や「マルチシグ」、「aggregatetransactions(アグリゲート・トランザクション)=複合トランザクション」も実装されます。
文章ではイメージできないと思うので、NEMとmijinのカタパルトについての説明動画があるので視聴してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=sBSN7nv5aaA
動画のようにカタパルトでは、スマートコントラクトの難しいプログラムもいりませんし、上司から書類にハンコをもらって実行の許可もらうのではなく、マルチシグで許可をするだけです。
また、複合トランザクションで次のようなことも可能です。
例:AさんがXEMで決済したいけど、お店ではXEMで支払いできない場合。
- Aさん:XEMで支払いしたい。
- Bさん:BTCをXEMに交換したい。
- お店:BTCでの支払いは可能。
この三者を同時に取引することで「BさんはAさんのXEMとBTCを交換し、BさんのBTCでお店に支払われ、AさんはXEMで支払いを終える」ということができるということです。
XEM(ゼム)が買える仮想通貨の取引所
XEM(ゼム)を買える仮想通貨の取引所の大手は、「coincheck(コインチェック)」と「Zaif(ザイフ)」があります。
ただ、coincheckは2018年になってハッキング被害により、600億円以上のXEMを盗まれており管理体制に問題があるようなので、Zaifで買うことを進めます。
ただcoincheckはアプリでの取引もしやすいので、金融庁の許可がでて管理体制が改善されたあとなら取引を初めてもいいかもしれません。
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