人生や子孫にまで影響する!子供の楽観度(悲観度)に影響を与える要素

2018-05-13教育・習い事,GRIT(やり抜く力)

子供が人生で幸福や成功を手に入れるにはGRIT(やり抜く力)が大事で、それを支える楽観的な考え方ができるかどうかは重大な意味を持ちます。

そんな子供の楽観度(悲観度)に影響を与えている要素を紹介していきます。

母親の説明スタイル

子供にとってもっとも近い大人は両親で、子供は両親から世の中について多くを学び取ろうと「なぜ?」と繰り返し質問します。

子供の「なぜなぜ攻撃」に嫌気をさせて答えることをやめる親もいますが、そんな時子供は別の方法で疑問の答えを得ようとします。

それは世の中で何か良いことや悪いことが起こったときに、両親が自然に口にする説明にじっと耳を傾けることで、特に悪い出来事は一言ももらさないように聞こうとします。

100人の子供とその両親の楽観度を調べるテストをすると、息子や娘関係なく子供の説明スタイルと母親の説明スタイルが非常に似ており、父親の説明スタイルとは全然共通点がないことが分かりました。

つまり、母親が何かしらの失敗した時に「私がバカだから悪い」「私は怠け者だ」「私はいつも不幸だ」と母親が口にしていると、子供は「不幸な出来事は自分が悪いから起きる」と世の中はこういうものだと母親の考えから学ぶということです。

子供のしつけや教育での大人の批判方法

うち病患者は男性よりも女性の方が多いですが、これは女性が生理によってホルモンバランスを崩しやすいこともそうですが、子供の頃の大人の批判に男女差があることも影響しています。

情緒発達研究の世界的権威キャロル・ドゥエックによると、子供が悪いことや失敗をした時、近しい両親や先生は子供のしつけや教育をするために怒りますが、この批判の仕方は男子と女子の態度の違いによって異なります。

小学三年生の男子たちは普段の生活で、じっと椅子に座ることが出来ないし、話を聞かない、決まりに従わない、ふざけて叫び走り回ります。

女子たちは普段の生活で、じっと椅子に座っておとなしく話を聞くし、ふざけるときもひそひそ話してくすくす笑う程度で、両親と先生にとっては男子よりも女子の方が扱いやすいです。

このような態度の違いがある中で、テストで悪い点数を子供がとった時の大人の批判は次のように変わります。

男子の失敗は一時的で、特定的な分野に限る批判を受ける

  • 一生懸命やらなかったでしょ。→努力することで解決できる。
  • 聞いていなかったでしょ。→気をつけて聞くことで解決できる。
  • 先生が教えているとき暴れていたでしょ。:暴れないようにする。

女性は失敗は永続的で、普遍的な批判を受ける

  • あなたは算数が不得意ね。
  • 答えをチェックしたことないでしょ。
  • いつもいいかげんな答案を出すのね。

このような大人の批判を受けた小学三年生の男女の生徒が、小学四年生になって失敗をどのように説明するか絶対に解けないゲームをして実験しました。

すると、男子は「一生懸命やらなかった」「こんなゲームやってどうするの?」という説明するのに対して、女子は「私はゲームが苦手なの」「頭が良くないから」などと希望がない説明しました。

つまり、男女の態度差が子供が失敗した時の大人の批判の仕方を変化させ、女性は男性よりもずっと希望が持てない悲観的な考え方をするようになり、うつ病になる可能性を高めているということです。

子供時代に体験した重大危機

家族問題の世界的権威で社会学者のグレン・エルダーらは、世界大恐慌が当時の子供たちの人生にどのように影響するのかを子供たちが70〜80代になるまで調査され、その人の子供や孫たちも調査に参加しました。

多くの人が大恐慌にあって全財産を失いましたが、その中で打ちのめされることなく生き続ける人々と、立ち直れなかった人々がいました。

大恐慌で立ち直った中流層の少女は、中年初期で精神的に立ち直り、その後も上手に年を重ねましたが、立ち直れなかった貧困層の少女の晩年は、肉体的にも精神的にも悲惨な状態でした。

社会学者グレンは、立ち直れた中流層の少女は子供時代に苦境を乗り越えたことで、悪いことは一時的で特定の分野に限られ、外的な要因によるものだと楽観的に捉えることを学んだと推論しました。

なので、年をとって友達が亡くなっても「新しい友達を見つけよう」という前向きな気持ちになって、上手に年を重ねることが出来ました。

一方で大恐慌で立ち直れなかった貧困層の少女は、大恐慌の前後はずっと貧しいままだったため、悪いことはずっと続く学んだために、その後も希望が持てない人生を送ったと推論しました。

これまではあくまで社会学者のグレンの推論ですが、当時の面接記録をCAVE(説明スタイル逐語的内容分析)という日記や手紙、遺書、心理療法の記録、記者会見の発言などから楽観度を測定する分析法を行いました。

すると、危機を乗り越えた少女は、悪い出来事は一時的で変えることができるものと見ていたのに対して、貧しいままだった少女は、不幸はずっと続き克服できないものと考えるようになったことが証明されました。

また、さらにその少女たちの子供や孫にも楽観度は際立って似ていることから、母親の説明スタイルは受け継がれることも改めて証明されました。

つまり、子供時代の重大な危機に上手く対処できるかどうかは、子供の楽観的な考え方に影響を与えて、その後の人生や子孫にまで大きく影響することがわかりました。

まとめ

子供が人生で幸福や成功を手に入れるには、楽観的な考え方ができるかどうかが重要な意味を持ちます。

その子供の楽観度に影響を与える要素は次のものがありました。

  • 母親の説明スタイル
  • 子供のしつけや教育での大人の批判方法
  • 子供時代に体験した重大危機

【関連】楽観主義者か悲観主義者かタイプ分けする「説明スタイル」とは

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