お腹のトラブル便秘や下痢、大腸がんの原因となる悪玉菌の種類
腸内細菌である悪玉菌が増えすぎると、便秘や下痢、腹痛などお腹の調子を崩しやすくなります。
また、それだけでなく肌荒れやくさい体臭になったり、免疫力を弱めて感染症や大腸がんなどのリスクを高めます。
このような症状で私たちに悪影響がある主な悪玉菌の種類について紹介していきます。
大腸菌(毒性株)
悪玉菌で一般的に知られているのが大腸菌(Escherichia coli)です。
酸素の有無に関係なく存在できる通性嫌気性菌で、鳥類や哺乳類の消化管内や特に人間の大腸に生息します。
大腸菌は出生後から人の腸内で増殖し始めるのですが、偏った食生活や加齢などによっても腸内の大腸菌が増えます。
ほとんどの大腸菌は無害ですが、大腸以外の血液や尿路系に侵入したり、一部の毒素を産生する病原性大腸菌(別名:毒素原性大腸菌)が腸内で増えすぎたりすると病気の原因となります。
例えば、大腸菌が尿路系や血液に侵入すると膀胱炎、腎盂腎炎、敗血症なります。
特に女性は肛門と膣、尿道の近い位置にあるので膀胱炎になりやすく、膀胱炎の80%が大腸菌が原因なので注意しないといけません。
そして、病原性大腸菌が腸内で増えすぎた場合、腸内の腐敗が進んで下痢や便秘、腹痛をおこしたり、血便がでたり、免疫力が低下したりします。
ウェルシュ菌
ウェルシュ菌は、酸素を嫌う嫌気性桿菌で哺乳類の腸内や自然界の河川、下水、海、土壌などに生息する微生物です。
ウェルシュ菌は少なくとも12種類の毒素を作り、主要な毒素であるα、β、ε、ιの4種の産生パターンによってA~Eの5型に分類されます。
このうちウェルシュ菌A型菌のα毒素(エンテロトキシン)は、ヒトの食中毒の原因となっています。
ウェルシュ菌は耐熱性の芽胞(外皮)が特徴で、高温の環境でも死滅しません。
なので、多量の生菌を含む食べ物を摂取することはもちろんですが、食品を高温調理してもウェルシュ菌は除菌されません。
それどころか食品を高温調理したあと料理が冷めると、食品の中心部が無酸素状態となりやすいので、酸素を嫌うウェルシュ菌にとって環境が良く逆に増殖します。
なので料理を作り置きには注意が必要で、作り置きを食べるときは温めるだけでなく料理をよくかき混ぜて全体を酸素に触れさせることがウェルシュ菌の食中毒の感染予防になります。
また、ウェルシュ菌は善玉菌優勢の腸内ではあまり見かけることがなく、悪玉菌優勢で生息していることがほとんどです。
なので善玉菌優勢に腸内環境を保つこともウェルシュ菌の食中毒の感染予防には大事です。
もし身体にウェルシュ菌が侵入すると、腸内の肉や魚のタンパク質をエサに急速に増殖し、潜伏期間は約6~18時間で放出される毒素によって下痢や腹痛を起こします。
そして、腸内を腐敗させて硫化水素やアンモニアなどの有害物質(発がん性物質)を作って、がんを引き起こすこともあります。
ブドウ球菌
ブドウ球菌は、自然界をはじめヒトや動物の皮膚、鼻、のど、耳、腸、膣などの常在細菌として、どこにでも生息しています。
大部分のブドウ球菌は無害であり、腸内細菌叢(腸内フローラ)という細菌のグループを作って外部からの病原体の侵入を防ぐバリヤの役割を持っています。
しかし、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腐敗ブドウ球菌の3種類は、人の病気の原因となります。
特に黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖して熱や乾燥、胃酸、消化酵素に強い「エンテロトキシン」という毒素を作り、食中毒の原因となります。
黄色ブドウ球菌による食中毒は潜伏期間が短く、汚染された食品を食べたあと2~3時間(毒濃度が高いともっと早い)で発症し、激しい吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を起こします。
食中毒は食品中で増殖した菌が毒素を作り、その毒素によって食中毒になっています。
この毒素は加熱調理しても残るので、細菌が増える温度に食品を長時間おかないことや素手で食品を扱わないことが大事です。
アリアケ菌
日本で最初のがん専門病院である「がん研有明病院」の医師らは、患者や検診にきた人から便を集めて腸内フローラを調べました。
その結果、新種の腸内細菌が発見され、病院名から「アリアケ菌」と名付けられました。
このアリアケ菌は二次胆汁酸の一種であるデオキシコール酸(DCA)という物質を排出して、細胞老化を引き起こします。
そして、この老化細胞が発がん性物質を放出して、大腸がん、前立腺がん、乳がん、肝臓がんなどの原因になると言われています。
毒素産生型フラジリス菌(ETBF菌)
毒素産生型フラジリス菌(ETBF菌)は、大腸がんのリスク因子と考えられている悪玉菌です。
この菌はビフィズス菌BB536入りのヨーグルトを摂取し続けることで除菌することが実験で明らかになっています。
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